大学の博物館とは何だか敷居が高い気もしますが
昨夏訪れた宮城県仙台市の東北大学青葉山キャンパスにある
東北大学理学部自然史標本館は
いろいろな面からすごいところだったのでご紹介!
玄関前の屋外展示からまずびっくり。
鮮新世、300万年前の木である
珪化木(けいかぼく)。
仙台市指定天然記念物にもなっているというこの珪化木、
先日、経ヶ峯の御子様御廟をご紹介しましたが
その経ヶ峯の東側を流れる広瀬川の川床に
この化石林が点在するそうです。
バスで霊屋橋を通ったけれども、
うっかり見落としてしまった。残念。
そしてまたまた屋外展示
今度はモロッコで見つかった石灰岩
こちら3億7千万年前(!)のデボン紀のもので
オウムガイの仲間の直角石(ちょっかくせき)と
古生代型アンモナイトの一つである
ゴニアタイトの化石をたくさん含んでいるのです。
そしていよいよ館内へ。
チケットを買う時に
「学生さんがいるので…」と案内があったので
てっきり大学生が館内演習で授業を受けているのかと思ったら
展示解説をボランティアでされているのでした。
(この話はページ後半でまた登場)
(この話はページ後半でまた登場)
さて館内展示に進むと天井に巨大なクジラが!
1915年宮城県鮎川町(現:石巻市)で
陸揚げされた全長14m、
100年以上前のクジラの骨格です。
そして気が遠くなるような年代のものもありました。
2004年7月にグリーンランド イスア地域で
東北大学の掛川武教授の研究チームと
コペンハーゲン大学の共同調査により
海で堆積した岩石から
37億年前の生命の痕跡が見つかったそうです。
このオオバタクルミの化石
なんと宮沢賢治が採集したもの。
なんと宮沢賢治が採集したもの。
鉱物・化石採集が趣味だった宮沢賢治は
岩手県花巻市のイギリス海岸で採取したオオバタグルミの化石を
東北帝国大学地質古生物学教室の早坂一郎先生に依頼して
鑑定してもらったそうです。
それは早坂先生の論文の中に登場します。
そのクルミは館内解説板によると
賢治の『春と修羅 第三集』
賢治の『春と修羅 第三集』
作品集第741番の「煙」の中に登場するそうです。
このクルミが?
何だかとってもワクワクする瞬間。
何だかとってもワクワクする瞬間。
この館内で展示されていた物以上に
最も感動したのは「みちのく博物楽団」です。
こちら2013年に設立された東北大学学生主体の
ミュージアム支援団体だそうで
東北大学総合学術博物館を拠点に活動されているのだとか。
私はこちらで取り上げた里浜貝塚のことが気になっていたので
2階に展示されていた里浜貝塚出土の人骨のことを
お尋ねしました。
1918年に発見されたこちらの人骨、
縄文時代晩期の成人の屈葬です。
大学の研究者でもない一介のおばさんの
突拍子もない質問にも学生さんは汗をふきふき
一生懸命答えてくれました。
理学部運営の博物館だから地質学とか考古学とか
資料がとにかく多岐多様なわけであり
古人骨がその学生さんの専門かどうかはわからないけど
真摯に答えてくれようとするその姿を見て、
日本の未来も捨てたものじゃないなあと感じました。
人骨が収められていたケースも時代を感じさせる、
そしてこの人骨にふさわしい美しいものでした。
そしてこの人骨にふさわしい美しいものでした。
館内には質問コーナーがありました。

こどもたちの質問は素朴だけども
学問の真髄をつくようなものばかり。
その鋭い質問に楽団の学生さんたちが
わかりやすく丁寧に説明を書かれていました。
デジタルな時代に手書きの質問のやり取り、
パソコン・スマホ世代の学生さんが
何かのコピペでちゃちゃっとすませているのではなく
専門的な内容をこどもにわかるように
専門的な内容をこどもにわかるように
自分の言葉で、一字一字手書きで丁寧に書いていることが
すごく感動的でした。
すごく感動的でした。
どんなふうに頭をひねって考えだしたのかって想像すると
何だかとてもジーンとしました。
何だかとてもジーンとしました。
ホワイトボードには新しい質問が貼られていて
過去の質問は綴じられて右隅に掲示されています。
一度来館したこどもたちが
自分たちの質問に
東北大学のお兄さん、お姉さんたちは
過去の質問は綴じられて右隅に掲示されています。
一度来館したこどもたちが
自分たちの質問に
東北大学のお兄さん、お姉さんたちは
どんなお返事書いてくれたのかなあって
楽しみにまた来館するのもいいですね。
そういうお兄さん、お姉さんたちに
こどもたちはすごいなあって憧れたりして。
東北大学理学部自然史標本館、
いろいろな意味で宝物いっぱいの博物館です。
仙台市営バス「るーぷる仙台」の
バス停「理学部自然史標本館前」で下車すると便利です。