2018年08月11日

ルーヴル美術館展 肖像芸術―人は人をどう表現してきたか(国立新美術館・六本木)

先日、国立新美術館で開催されていた
「ルーヴル美術館展 肖像芸術―人は人をどう表現してきたか」に
行ってみました。

敷地入口に入る前、右手にはずらりと主な作品が並んだ看板が出ています。

DSC07780.JPG

いよいよ入ってみますと
DSC07759.JPG

既視感のある風景。
DSC07779.JPG

どこかと思ったら昨年末、表参道を散策した折に見かけた
日本看護協会のクリスタルコーンと呼ばれる建物によく似ている。

調べてみたらデザインは同じ黒川紀章さんでした。やっぱり。
思わぬところで、亡き人にばったり出会ったような感じです。

そして会場入り口には
アントワーヌ=ジャン・グロの作品
「アルコレ橋のボナパルト(1796年11月17日)」を用いたポスターが。
若き日のナポレオンの姿にいざなわれて入場です。

DSC07761.JPG

今回いくつか印象的な作品がありましたのでいろいろ調べて
8月下旬か9月上旬あたりにこちらのサイトでもご紹介できればと思います。


さて、館内にはこんな掲示が。
DSC07766.JPG

小・中学生以下は無料、だそうです。
ポスター表題は高校生も含まれていますが
7月中旬から2週間だけ無料の期間があったようで
現在は小・中学生以下のみ無料。

フランスに行かなくても、ルーヴル美術館所蔵の作品を
直に目にすることができる良いチャンスと思います。
小さい時には作品の良さなどはちっともわからないものだけど、
そういう積み重ねが、あとで大人になった時
何かの肥やしになるときがきます。きっと。
posted by Lana-Peace at 08:53| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

2017年11月24日

源氏絵彩色貝桶(江戸時代・東京国立博物館 本館 8室展示)

先日訪れた国立東京博物館展示(東京・上野)の常設展より
印象的だったものをご紹介。

源氏絵彩色貝桶(げんじえさいしきかいおけ)は
貝合わせに用いる貝を納める箱です。
展示解説板によると用いられる貝殻は360組。
その一方を全部伏せて並べて、もう一方を一つずつ取り出して
貝殻の外側の色や文様によって、一組の貝を引き当ててゆく
というものだそうです。
二枚貝は貞節の象徴とされて、こうした貝桶は
大名の結婚の儀式で婚礼を表象するおめでたい道具だったとのこと。

DSC05143.JPG

DSC05144.JPG

DSC05148.JPG

箱は蓋の天井部分まできれいに彩られ
貝も一枚一枚、実に美しい文様。

DSC05146.JPG

DSC05146a.JPG

400年ほど前の作品、作者は不明だけど、
気の遠くなるような緻密で丁寧な仕事ぶりが際立つ作品です。
作者は亡くなっても作品は半永久的ですね。

縄文時代には貝塚に捨てられていたハマグリの貝殻も
数千年を経ると、金箔や絵の具できれいに装飾され
慶事の表象になるとは、日本人の文化の力ってすごいなあと改めて思いました。


------*------*------*------*------*------*------
源氏絵彩色貝桶(げんじえさいしきかいおけ)
1対
江戸時代・17世紀
列品番号 H-4612
東京国立博物館 本館 8室展示
------*------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 00:21| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

2017年11月18日

阿弥陀三尊及僧形像 N-199(重要文化財) 東京国立博物館 法隆寺宝物館所蔵

こちらでご紹介した「無著菩薩立像 世親菩薩立像」ですが
弥勒如来像のすぐそばに、たとえ尊称は菩薩ではあっても、
人間の僧侶像が立って配置されているのが不思議と思ったのですが
運慶展を見終わった後、帰りに寄った東京国立博物館敷地内の
法隆寺宝物館にヒントがありました。

こちら法隆寺宝物の中の阿弥陀三尊及僧形像です。
DSC05379.JPG

DSC05379a.JPG
※写真撮影許可あり

阿弥陀如来のすぐ後ろに控える二人の僧侶。
仏様のこんなにそばにいるのは、人間でも良いわけですね。
こちらの銅版、登場する皆様方のお顔が実に優しくて
ほっこり、という形容がぴったりのご一同様です。


------*------*------*------*------*------*------
阿弥陀三尊及僧形像 N-199(重要文化財)
1面
35.7×29.8cm
銅版製押出
飛鳥時代・7世紀
東京国立博物館 法隆寺宝物館所蔵
------*------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 17:07| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

「無著菩薩立像 世親菩薩立像」運慶 作 (国立東京博物館展示・奈良/興福寺 所蔵)

こちらの像、最初の出会いは遠い昔の
中学か高校の日本史の教科書のような記憶があり
なんとも哀愁がそこはかとなく漂う時間でした。
それぞれ2m近いその立像はド迫力です。
そして背部に回ってみると、特に無著の袈裟の柔らかい布の感じは
まるでそこに布が生きて、波立っているかのようです。

それにしても無著、世親は憂いを秘めた思慮深いお顔立ち
ガンダーラ出身であればもっと彫の深い顔立ちではないのかしら
等と思いますが、まあそんなことはどうでも良いですね。
外見がどうかではなくて、その像からにじみ出る何かが
人にどう伝わるか、が大事なのだろうと思いますから。

無著菩薩立像 世親菩薩立像はあまりに有名で
単独で写真に掲載されていることが多いのですが
本来、興福寺北円堂では本尊弥勒如来像の両脇に
大妙相菩薩像、法苑林菩薩像、
そして堂内の四隅に四天王像、
そして弥勒如来像の両脇後方に
無著(むじゃく)菩薩像・世親(せしん)菩薩像が安置される、
という形をとっています。
運慶展に出展される前の2017/9/5
北円堂で魂を抜く法要が営まれたという朝日新聞の記事
があり
そこに掲載されている写真が参考になりました。
実際の北円堂にいらっしゃる無著菩薩像・世親菩薩像のご様子が見えます。

それぞれ菩薩、と尊称がついていますが僧侶ですから
弥勒如来像のそばで、守るように配置されるというのが
何かとても不思議な感じがしたのですけれど……
その不思議が解けるようなヒントが
運慶展のあとで寄った東京国立博物館敷地内の法隆寺宝物館にありました。
思わず「これなのかー」と思ってしまいましたので
後程ご紹介


------*------*------*------*------*------
無著菩薩立像 世親菩薩立像(国宝)
運慶 作
桂材, 寄木造, 彩色, 玉眼
無著像 像高 194.7cm
世親像 像高 191.6cm
2軀
建暦2(1212)年頃
奈良/興福寺 所蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 16:55| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

「大日如来坐像」運慶 作(国立東京博物館展示・栃木・光得寺所蔵)

日本で厨子に納められた見事な仏像は?と言えば
私は1番に銅造阿弥陀如来及両脇侍像(伝橘夫人念持仏)を挙げたいのですけれど
運慶作の栃木・光得寺の大日如来と飛天の納められた厨子は
実に美しかったです。
今回の運慶展の中でも、特に印象に残るものでした。
運慶作の大日如来は見事ですが
蓮華座の下の獅子も素晴らしいし
阿弥陀如来の周囲を取り囲む飛天もすごかった。
阿弥陀如来が配されている平等院鳳凰堂中堂の
内側の壁の飛天を想起いたしました。

こちら昭和60(1985)年、東都文化財保存研究所により
保存修復が行われています。
その報告書の一部がこちらに掲載されていました。
そこからの情報を元に見てみると
円筒形観音開きの厨子は漆塗りで
中央に座す大日如来は木造漆箔造り。
金泥塗りの飛天は白土の雲に乗っています。

国立国会図書館デジタルコレクションに出ている『鑁阿寺小史』(※)
の中に厨子のお話が登場します。
デジタルコレクションなのでコマ番号17/40を見てみると、
24ページ、25ページの開いた写真が登場します。
そこには次のようにありました。
「法名を鑁阿と称し、金胎両部の秘密灌頂檀に入り大法を潟瓶し畢り、
やがて、金剛界大日如来三十七尊の像を三尺七寸の厨子に納め、
自から之を擔ひ飄然国を去り、足跡到るところに偏く、
(この厨子は今菅田村光徳寺(禅宗)に存す、
けたし明治四年神佛混合の際、樺崎八幡宮にありしものを
この寺に移し納めしものなりと云ふ)
  注:旧字は新字に改めました

※山越忍空(1897)『鑁阿寺小史』鑁阿寺, 25ページより抜粋

鑁阿寺小史によれば法名を鑁阿と称した足利義兼氏が
誰かに持たせるのではなく、自分で厨子を背負い
ふらりと諸国を巡った、とのこと。
それはどんな心境があったのでしょう……?

------*------*------*------*------*------
大日如来坐像(重要文化財)
運慶 作
1軀
12〜13世紀
栃木・光得寺 所蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 15:59| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

「阿弥陀如来坐像および両脇侍立像」運慶 作(国立東京博物館展示・神奈川・浄楽寺所蔵)

国立東京博物館展示(東京・上野)の
「興福寺中金堂再建記念特別展 運慶」より印象的だったものをご紹介。

「懐かしいー」と思わず感激したこちらの像。
今から8年前、2009年に京都造形芸術大学通信教育部の
歴史遺産コースで学んでいた時に
10月に開催された芸術遺産研究のスクーリングで訪れた
神奈川県横須賀市芦名の浄楽寺の阿弥陀如来像だったからです。

実際、彼の地で見た時はその迫力に圧倒されて
横須賀にこんなすごいお宝があったのだなあと
帰りのバスの中でどきどきしたことを思い出しました。

特別展では普段収蔵庫の中では見られない角度から
見ることができるのも一興です。
浄楽寺のHPによると阿弥陀如来の光背・台座は
後年、江戸時代の作だそうですが
光背外側は流れるような曲線の先一つ一つに
まるでお花が咲いたような造形で
光背が作る光の影は、アラベスク文様のようで
とても美しかったです。
それが本尊阿弥陀如来をますます引き立てています。

そして改めて浄楽寺のHPを見てみると
東日本大震災の後、収蔵庫の下に断層があることが判明し
現在収蔵庫改修対策の真っ最中で、朝日新聞社運営の
クラウドファンディングがとられているそうです。
800年近く前に作られた阿弥陀如来坐像と脇侍。
800年の間には何度も地震・天災があったことでしょう。
でも、たとえ断層の上にあっても
平成のこの時代まで形を保ち続けてきたと知ると
ますます運慶の魂が仏像の中に吹きこまれているような
特別な力が宿っているような、そんな気がしてきます。

------*------*------*------*------*------*------*------
阿弥陀如来坐像および両脇侍立像(重要文化財)
運慶 作
3軀
3軀とも木造寄木造
阿弥陀如来坐像 像高141.8cm
勢至菩薩立像  像高177.1cm
観音菩薩立像  像高178.8cm
文治5(1189)年
(阿弥陀如来坐像光背・台座は江戸時代作)
神奈川・浄楽寺
------*------*------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 13:18| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

「毘沙門天立像」(国立東京博物館展示・同館所蔵・旧中川寺十輪院持仏堂伝来)

国立東京博物館展示(東京・上野)の
「興福寺中金堂再建記念特別展 運慶」より印象的だったものをご紹介。

今は廃寺となった中川寺(奈良市中ノ川町)に安置されていた像。

経年変化によって全体は黒っぽくなっていますが
その中で光る着衣の金箔や細かく美しい柄模様は
とてもすごい手作業のなせる技です。

家にかえって調べてみると国立東京博物館のe国宝HPには
像内に紙本版画の毘沙門天摺仏が110枚、
絹本著色毘沙門天像が2枚納入されていたことが記されており
こちらのHPの驚いたところは、その拡大図を見ることができるのです。
す、すごいです。像もすごいけど納入品もすごい!
110枚プラス2枚も入っていた?
きれいに折りたたんで?
それとも、折れないように丸めて?

1mほどの像なので、会場内の他の大きな像に比べると
コンパクトな印象を受けますが
そんなお宝が納入されていたのかと思うと、
本当はぜひぜひ、納入品も一緒に展示してほしかったなあ。

仏像を作った仏師もすごいけれど
版画を彫った人、摺った人、絵を描いた人たち、
いろんな人の思いがこもっている作品だから。

------*------*------*------*------*------
毘沙門天立像(重要文化財)
作者不明
1躯
像高102.5cm 
木造, 漆箔・彩色・切金, 玉眼
応保2(1162)年
旧中川寺十輪院持仏堂所在伝来、個人寄贈
東京国立博物館 所蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 12:29| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

「大日如来坐像」運慶 作 (国立東京博物館展示・奈良・円成寺所蔵)

国立東京博物館展示(東京・上野)の
「興福寺中金堂再建記念特別展 運慶」より印象的だったものをご紹介。

本来所蔵されている奈良県 円成寺のHPを見てみると、台座内墨書に銘文あり、
そちらの末尾に「大仏師康慶 実弟子運慶」と書かれているそうです。
音声ガイドでは本来こうした像は3カ月で制作するところを
1年かけて運慶が制作したとのこと。
そこには微妙な角度のこだわりなどがあったそうです。
横顔がとても凛として気品あり、
座り姿の背中がとても美しく物語る大日如来坐像です。

ざわざわした混雑会場でななくて、
しんとしたお堂の中でこうした坐像と対峙すると
異世界へいざなわれるような、そんな気がする坐像です。

------*------*------*------*------*------
大日如来坐像(国宝)
運慶 作
1軀
像高 98.8cm
安元2(1176)年
奈良・円成寺 所蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 12:07| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

2017年11月04日

「月次風俗図」鈴木其一 (出光美術館展示)

出光美術館(東京・丸の内)の「江戸の琳派芸術」より印象的だったものをご紹介。

元々六曲一双の屏風の上に12枚の風俗図が貼り付けられたものだそうです。
その中でも私は、鮎の絵がとても印象的でした。
五尾の鮎が泳いでいる姿。その水の流れは青、白、グレー、
画面の向かって左上から右下に向かって直線の斜めの縞で表現されています。
鮎の色合いと水の色合いがとても調和している
実に美しい品のある作品と思いました。
大人の浴衣の絵柄などにも良さそうな…。

------*------*------*------*------*------
月次風俗図
鈴木其一
十二曲
紙本着色
43.7x41.9cm
江戸時代(19世紀)
所蔵記載なし
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 11:13| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

「四季花鳥図屏風 」酒井抱一 (出光美術館展示)

出光美術館(東京・丸の内)の「江戸の琳派芸術」より印象的だったものをご紹介。

高さ21.2センチの小さな屏風なのですが
美がぎゅっと凝縮された感じです。
特に右隻の中央に描かれたあじさいがとても目を引きました。
あじさいの装飾花は白、淡い青青、濃い青で表現されていますが
絵の具の粒が盛り上がっていて、点、点となっていて
お花がとても活き活きとした感じです。
金地によく映えています。

------*------*------*------*------*------
四季花鳥図屏風
酒井抱一
八曲一双
紙本金地着色
21.2x72cm
江戸時代(19世紀)
出光美術館 所蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 11:09| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

「十二ヵ月花鳥図貼付屏風」酒井抱一 (出光美術館展示)

出光美術館(東京・丸の内)の「江戸の琳派芸術」より印象的だったものをご紹介。

左隻第四扉はいくつも実のなっている柿の木の枝に
鳥がとまっている様子が描かれています。
画面中央には3羽の鳥、向かって右下に1羽の鳥。
愛らしい瞳です。
3羽の鳥は肩を寄せ合うように、おしゃべりしているかのようです。
黒い丸で塗られた鳥の目のまわりは白い点のような線で縁どられています。
メジロでしょうか。
ぐるりと塗りつぶされているのではなくて
ひと筆ずつ、描いているもの。
ネットに出ているいろんなメジロの写真を拡大してみると、
確かにメジロの目のまわりはそんな感じの白になっていました。

ほんわかした雰囲気の絵だけど、ある部分はとってもリアル。
それは伊藤若冲のようなリアルさではないけれど。
そうしたところが、何かとても引き締まった感じになるのかもしれない。
すごく生命感が宿ると言うか……。


メジロのおしゃべりは何だったのかな。

------*------*------*------*------*------
十二ヵ月花鳥図貼付屏風
酒井抱一
六曲一双
絹本着色
140.7x51.6cm(各図)
江戸時代(19世紀)
出光美術館 所蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 10:59| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

2017年11月03日

「秋草図屏風」鈴木其一 (出光美術館展示)

出光美術館(東京・丸の内)の「江戸の琳派芸術」より印象的だったものをご紹介。

こちら向かって右端中央に引手の跡があるのでかつて襖絵だったと思いますが
屏風仕立てにされたのでしょうか。
秋草は薄、吾亦紅、桔梗、藤袴、撫子、ホウズキ、野菊。
吾亦紅の花がシンプルな楕円だけど、なんともかわいい感じがします。

そして白い野菊の根元のそばには、ひっそりとコオロギが…。
草花に埋もれる地面だけど、そこには自分の見えていない世界があるんだなあと
気付かされるような絵でした。


------*------*------*------*------*------
秋草図屏風
鈴木其一
二曲一隻
絹本着色
167.5x181.2cm
江戸時代(19世紀)
出光美術館 所蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 10:38| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

「糸桜・燭台図扇面」酒井抱一 (出光美術館展示)

出光美術館(東京・丸の内)の「江戸の琳派芸術」より印象的だったものをご紹介。

糸桜の扇子の中央に、天に藍、地に紫の打曇短冊が斜めに配されています。
とても品良く、大変美しい扇子です。

そしてその短冊には抱一の自詠自筆の和歌が。

「そめやすき 人のこゝろや 糸さくら」

こちら上の句としたら、どんな下の句が生まれるのか。
なんだか、余韻たっぷりの、抱一の上の句。

画才だけでなく、詠む力も秀逸だなあと思います。

------*------*------*------*------*------
糸桜・燭台図扇面
酒井抱一
53.0x18.6cm
二本
紙本着色
江戸時代(19世紀)
出光美術館 所蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 10:32| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

「燕子花図屏風」酒井抱一 (出光美術館展示)

出光美術館(東京・丸の内)の「江戸の琳派芸術」より
印象的だったものをご紹介。
一隻の屏風にCの字のように燕子花が配置されて描かれているのですが、
屏風中央に、すっと天に向かって伸びた燕子花の葉の先に
トンボが止まっていました。

黒で描かれたトンボ。
孤高のトンボ。
シンプルな形状だけど、それがとても美しい。
燕子花の花や葉の曲線・直線とトンボの形状がとてもマッチしていて
そこだけ時間が静止したかのようです。
燕子花の中のトンボをずっと見ていたら、
何だか異次元に引き込まれそうな、そんな気もするトンボです。

------*------*------*------*------*------
燕子花図屏風
酒井抱一
二曲一隻
絹本着色
177.1x183.6cm
享和元年(1801)
出光美術館 所蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 10:21| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

2017年11月02日

「江戸の琳派芸術」出光美術館(東京・丸の内)

過日、出光美術館(東京・丸の内)で開催されていた「江戸の琳派芸術」に行ってみました。

DSC05023.JPG

展示の最初のコーナーは大型屏風が数点配置されています。
ここはかなり広々とした空間で、当日それほど混雑していたわけではなかったので、
あっちにいったり、こっちにいったり、いろいろな角度で見てみました。
かつて受講した京都造形大の須賀みほ先生のスクーリング授業を思い出しながら。
そうすると酒井抱一の「八ツ橋図屏風」「紅白梅図屏風」など、
「そう見えることを意識して描いたのかあ」と思うようなところがいっぱい。
やっぱり実際に訪れてみると発見があります。

展示フロア出口のところに設営されている休憩スペースからは
皇居外苑の日比谷濠周辺がとてもよく見えました。
だんだん日が陰ってくる頃の陽射しを浴びたお濠の水面も紅葉の一群もきれいでした。

KIMG0185.JPG

KIMG0183.JPG

KIMG0181.JPG

印象的だったものをいくつかご紹介したいと思います。
posted by Lana-Peace at 12:18| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

2017年09月01日

中里之雪 東京拾二題(吉田 博 作)――「生誕140年 吉田博展 山と水の風景」東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館, 2017

白と黒だけで生み出された世界。
木々や建物、そして地面を白く覆い尽くす雪の情景です。

降り積もる様子はまるで、しんしんと音がしそうな感じです。
写真よりも、映像よりも、もっとリアルに雪景色の質感が
再現されているかのようです。

異次元の世界に入り込みそうな
そんな感じがする木版画でした。

------*------*------*------*------*------*------*------*------
吉田 博
中里之雪 東京拾二題
木版
紙 51.4×36.7cm
昭和3年
個人 蔵
東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館(東京・新宿)
「生誕140年 吉田博展 山と水の風景」より
------*------*------*------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 21:55| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

隅田川 夕 東京拾二題(吉田 博 作)――「生誕140年 吉田博展 山と水の風景」東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館, 2017

「生誕140年 吉田博展 山と水の風景」
(東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館)から
今回印象的だったものをご紹介したいと思います。


実に美しいサーモンピンクの夕焼けの空と
その光に照らされて一部サーモンピンクに染まっている隅田川。
空と隅田川に挟まれる町の様子は黒で表現されています。
微妙な色合いが、実に美しい作品です。

こちら、江戸東京博物館の収蔵品として
同じ作品を画像として見ることができます。



------*------*------*------*------*------*------*------*------
吉田博
隅田川 夕 東京拾二題
木版
紙 24.8×37.3cm
大正15年
個人 蔵
東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館(東京・新宿)
「生誕140年 吉田博展 山と水の風景」より
------*------*------*------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 21:50| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

気骨溢れる人生と美しい作品 ――吉田博展(東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館)から考えること

先日、東京 新宿の東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館で開催されていた
「生誕140年 吉田博展 山と水の風景」に行ってきました。

DSC01423.JPG

2015年にMOA美術館で初めて見た吉田氏の「風静(昭和12年作)」
という木版がとても印象的だったことから、
ぜひ他の版画も見てみたい!と思ったのです。
前売りチケットは買い求めていたけれど、
今夏はあれこれと忙しくて、
ようやく時間がとれたのは会期最終日。
1階エレベーターに乗る時点で、既に長蛇の列。
入場規制がかかっていましたけれど、待ったかいがあったなあ。

ところで、こちらの美術館、ゴッホの「ひまわり」を
所蔵している美術館としても有名。
1987年当時のレートで58億円で購入したのだそうです。
吉田氏の作品の最後のコーナーに隣接して、
ゴッホのひまわりも常設展示されていました。
花びらの一部は絵の具が盛り上がった部分があって、
花びらの生命力が活き活きと再現されていうかのようでした。
ゴッホはどんな眼差しでこの1枚1枚を描いたのでしょうか。

さて吉田氏のこと、私はてっきり版画家なのだと思っていたけど
実は油絵、水彩、多彩な才能を発揮された方でもありました。
版画の道を進みはじめられたのはなんと吉田氏49歳の時。
いろいろな状況を自分にとってプラスの転機と考え
人間何歳になってもチャレンジすることって大事ですね…。
大正14(1925)年8月、吉田氏がアメリカから帰国した後、
私家版木版41点制作したのが始まりなのだそうです。
日本の浮世絵を喜ぶアメリカ人の姿を目にして、
自分はもっと、美しい版画を作れる!と奮起した吉田氏。
美しく優しい空気感に充たされる版画を多く作られていますが、
実は随分、気骨溢れる方なのだと知りました。

また吉田氏が描く山は、自分が実際登り
そこで野営などしながら自分で見て、感じた風景を
描いていたのだそうです。
幼い頃から山をこよなく愛した吉田氏ですが、
外遊計画した時、ちょうど第一次世界大戦のために果たすことが
できなかったのがきっかけで、国内登山に熱中するようになったそうです。
それが作品制作により一層活かされてくるわけです

吉田氏の生き方自体もすごく、感銘を受けるもの多かったです。

今回印象的だったものをいくつかご紹介したいと思います。
posted by Lana-Peace at 12:57| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

2017年06月25日

唐草蒔絵置物台

サントリー美術館(東京・赤坂)の
「神の宝の玉手箱」より
印象的だったものをご紹介。
こちらで紹介したウィーン万博出品物、
海難事故後、引き揚げが行われたのは
沈没してから1年以上たってからの話だそうです。

国立国会図書館サイト内のウイーン万国博覧会ページによると
遭難したのは明治7年3月20日未明で、
伊豆半島沖にて暴風雨のためフランス郵船ニール号が座礁し、
乗客乗員90名と出品物192箱が海に投げ出されてしまったとのこと。

4名が救命ボートで難を逃れ,1名が救助されたそうです。
海に眠るままとなった方々とその遺族は
本当に無念だったことでしょう。

そして明治8年引き上げられた陶磁器や漆器等の68箱分のうち
今回展示されていたのは「唐草蒔絵置物台」。

約1年もの間、海水に浸かっていたとは想像できないほど
唐草の細かい文様が鮮明に残っていました。

もちろん引き上げ当時のそのままではなく
いくらか修復されたのだろうとは思います。
しかし歪みや破損の痕など、まったく感じられないもの。
こちら会場解説板にはその理由として
「漆塗りと蒔絵の堅牢さ」と表現されていました。

どなたの所有物だったのでしょう?
でも「置物台」と言われたら
その上に何か美術品など乗せるべきものが想定されていたはず。
いわゆる「裏方」の使命を持つ台ではありますが
こうして海から引き揚げられて、この世に蘇ったこの台、
裏方どころか、大本命みたいな、
何かとてつもなく大きな力を潜ませているように思えます。


東京国立博物館HPに画像が収載されています。
http://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0025702


------*------*------*------*------*------
唐草蒔絵置物台
一基
江戸時代 19世紀 
東京国立博物館蔵
サントリー美術館(東京・赤坂)
「神の宝の玉手箱」出展品
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 15:56| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

籬菊螺鈿蒔絵手箱図

サントリー美術館(東京・赤坂)の
「神の宝の玉手箱」より
印象的だったものをご紹介。


籬菊螺鈿蒔絵(まがききくらでんまきえ)手箱図です。

こちら「箱」ではなくて「箱の図」なのですが
この話、実にロマンを秘めたストーリーがあります。

そもそも「籬菊螺鈿蒔絵手箱」は源頼朝の妻、政子ゆかりの品。
鎌倉の鶴岡ケ八幡宮で大切に保管され、伝えられてきたそうです。
時に明治6(1873)年、ウィーン万博に出品され、
日本へ帰国する際、その船が伊豆沖で座礁し、
あえなく沈没。出品物は海の底へと沈んでしまったのです。
その後、捜索が行われ、引き揚げ回収されたものもありましたが
残念ながら籬菊螺鈿蒔絵手箱は海の中に眠ったまま。

平成になって復元が行われたそうですが、
そのもとになったのが、籬菊螺鈿蒔絵手箱図です。

籬菊螺鈿蒔絵手箱図をかつてどなたが
描き残したものかはわかりません。
でも文様や大きさなど文様や大きさなど
細かく記録された物。
今はカメラ、ビデオ、その他いろんな手段で
情報を保存することができるけど
昔は情報を残すだけでも、骨を折る大仕事ですね。

丁寧で几帳面な仕事ぶりが伝わる図です。


文化遺産オンラインHPに画像があります。
http://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/274416


------*------*------*------*------*------
籬菊螺鈿蒔絵手箱図
一巻
江戸時代 19世紀 
鎌倉国宝館 蔵
サントリー美術館(東京・赤坂)
「神の宝の玉手箱」出展品
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 15:52| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

2017年06月23日

「片輪車双鳥鏡」「片輪車螺鈿蒔絵手箱 模造」「片輪車螺鈿手箱 模造」

サントリー美術館(東京・赤坂)の
「神の宝の玉手箱」より
印象的だったものをご紹介。

レモンの輪切りのような文様は
片輪車(かたわぐるま)文。
そのいわれは牛車の車輪を乾燥から防ぐため
川に浸していた風景を意匠化とのこと。
「片輪車双鳥鏡」(※1)は12世紀の作品です。

京都国立博物館のHPに収載されています。
http://syuweb.kyohaku.go.jp/ibmuseum_public/index.php?app=shiryo&mode=detail&data_id=17434

日常のありふれた生活風景の中から
その場面を切り取って美術品に用いる意匠に仕立て上げるって
昔の人は実にすばらしい感性と才能を持っていたんだなあと
しみじみ思う作品でした。

そして片輪車の手箱は明治時代、小川松民氏によって
螺鈿の手箱として模造再現されています。
模造と言ってもその詳細を忠実に再現できる
表現力と技術力の高さは素晴らしいですね!

「片輪車螺鈿蒔絵手箱 模造」(※2)には、
波間に浮かぶ車輪の文様、
一部が螺鈿で再現されています。

東京国立博物館HPに収載されています。
http://image.tnm.jp/image/1024/C0035118.jpg

そしてこちらの小川氏のもう1つの作品
「片輪車螺鈿手箱 模造」(※3)は
車輪の線描の部分が螺鈿で再現されていました。

何百年もの意匠を再現できる力って本当にすごいですね。


※1
------*------*------*------*------*------
片輪車双鳥鏡
一面
平安〜鎌倉時代 12世紀
京都国立博物館蔵
サントリー美術館(東京・赤坂)
「神の宝の玉手箱」出展品
------*------*------*------*------*------

※2
------*------*------*------*------*------
片輪車螺鈿蒔絵手箱 模造
一合
明治11年頃(1878)
小川松民 作
東京国立博物館蔵
サントリー美術館(東京・赤坂)
「神の宝の玉手箱」出展品
------*------*------*------*------*------

※3
------*------*------*------*------*------
片輪車螺鈿手箱 模造
一合
明治13年(1880)
小川松民 作
東京国立博物館蔵
サントリー美術館(東京・赤坂)
「神の宝の玉手箱」出展品
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 07:55| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

「二重亀甲有字紋散蒔絵角赤手箱」

サントリー美術館(東京・赤坂)の
「神の宝の玉手箱」より
印象的だったものをご紹介。

蒔絵の箱には六角形の中に有の文様が。
出雲大社の神紋として用いる亀甲文は
大社の祭神オオクニヌシノカミの恵みが
六方にあまねく広まるという意味なのだそうです。

シンプルな文様でも深い意味が込められているのですね。

そして箱の上蓋の側面と、
下箱の側面端の隅にハートの文様。
黒い箱に赤い文様が実にビビッドできれいです。

------*------*------*------*------*------
二重亀甲有字紋散蒔絵角赤手箱および内容品
一具 
江戸時代  18世紀
出雲大社蔵(島根)
サントリー美術館(東京・赤坂)
「神の宝の玉手箱」出展品
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 07:50| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

鼠草子絵巻 第五巻

サントリー美術館(東京・赤坂)の
「神の宝の玉手箱」より
印象的だったものをご紹介。


「鼠草子絵巻」は、人間の女性と結婚した主人公の鼠の物語。
夫が鼠であることを知った妻は
夫を残して立ち去ってしまったのでした。
展示されていたのは、妻なき後、
途方に暮れる鼠主人公の様子が描かれていた場面。

右ひざを立てて座り、右手を額の前に持って行って
「まいったな…」と途方に暮れる様子。
鼠の悲哀が実にリアルに感じられる絵巻です。
黒の烏帽子に水色と白の着物、臙脂色の狩衣を
着ている鼠の権頭(ごんのかみ)。
手先や首の傾げ方とか、軽妙です。

絵巻のそのページはサントリー美術館の
ツイッターにも登場します。
https://pbs.twimg.com/media/DBhVa3cUIAAYbrJ.jpg:large

ウイットに富んで、
そして細かく丁寧に描かれた絵。
どなたが制作されたのだろう…?

気になる、気になる作品でした。

------*------*------*------*------*------
鼠草子絵巻 第五巻
五巻のうち一巻
室町〜桃山時代 16世紀
サントリー美術館蔵
サントリー美術館(東京・赤坂)
「神の宝の玉手箱」出展品
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 07:48| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

2017年03月07日

「六十余州名所図会 対馬海岸夕晴」歌川広重  (太田記念美術館展示)

太田記念美術館(東京・渋谷)の
「江戸の絶景〜雪月花」より
印象的だったものをご紹介。

手前には島と帆掛け船が数隻。
向こうには海と山。そして大きく弧を描く虹。
赤、黄色、緑青の虹の上に、鳥が三羽。
大空と大きな虹に
鳥が羽ばたいていく様子が
なんだかとっても雄大で、勇敢で
すがすがしい感じがいたしました。

実物を見るのが良いけれど
でもそれはちょっと無理という方は
国立国会図書館デジタルコレクションのウェブサイトで
こちらの浮世絵、見ることができます。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1308371
PC画面では虹の繊細なグラデーションと
三羽の鳥をはっきり見ることは難しいけど。
でも雰囲気は伝わるかな。

------*------*------*------*------*------
六十余州名所図会 対馬海岸夕晴
歌川広重
1枚
安政3年(1856)
太田記念美術館蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 07:24| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

2017年03月06日

「東都名所 新吉原衣紋阪秋月」歌川広重  (太田記念美術館展示)

太田記念美術館(東京・渋谷)の
「江戸の絶景〜雪月花」より
印象的だったものをご紹介。

満月に左右反転したくの字を
描くような鳥たちの群れが重なります。
群れの中で一番下の鳥は
画面下に配置された木の垂れた枝に向かっています。
そして木の根元には、一人月を見上げる男性。
下を見ればたくさんの家々の連なる屋根。

いつもいる世界に閉塞感を感じていても
見上げてみれば視点を変えれば、
こんなにも違う世界が
広がっているのだと
諭すかのような美しい版画です。

実物を見るのが良いけれど
でもそれはちょっと無理という方は
アメリカ ボストン美術館のウェブサイトで
こちらの浮世絵、見ることができます
http://www.mfa.org/collections/object/autumn-moon-at-emonzaka-in-the-new-yoshiwara-shin-yoshiwara-emonzaka-sh%C3%BBgetsu-from-the-series-famous-views-of-the-eastern-capital-t%C3%B4to-meisho-234733

------*------*------*------*------*------
東都名所 新吉原衣紋阪秋月
歌川広重
1枚
天保中期(1834-38頃)
太田記念美術館蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 07:22| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

2017年03月05日

「武陽金沢八勝夜景」歌川広重  (太田記念美術館展示)

太田記念美術館(東京・渋谷)の
「江戸の絶景〜雪月花」より
印象的だったものをご紹介。

こちら歌川広重が箱根に遊山に出かけた
嘉永六年(1853)のスケッチを元に
制作した作品の一つだそうです。
4年温められた風景が版画として蘇り、
それが160年も経ってこうして現代の人の目に触れるわけです。

画面中央上方に月が、そしてその下に野島、
その下に松の木々が点在する砂州が続いています。
月の下の方には鳥たちがM字を描くように
群れをなして羽ばたいています。
そして砂州もまるでM字のように続きます。

それらが中央に配置されています。

空(月)と生き物(鳥)と
海と大地(砂州)がすべて一つに繋がっている
そんなことを感じさせる、とてもシックで
大人雰囲気満載の美しい版画。

実物を見るのが良いけれど
でもそれはちょっと無理という方は
神奈川県立歴史博物館のウェブサイトで
こちらの浮世絵、見ることができます。
http://ch.kanagawa-museum.jp/dm/ukiyoe/kanagawa/meisyo/d_meisyo08_zoom.html

今は横浜金沢エリアは開発されて、
昔とは違った面影になってしまっているけれど
静かなたたずまいの海岸エリアもまだありますよね。
いつか、現代の夜の「金沢八勝夜景」行ってみよう!


------*------*------*------*------*------
武陽金沢八勝夜景
歌川広重
1枚
安政4年(1857)7月
太田記念美術館蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 14:28| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

努力家の天才の集結「江戸の絶景〜雪月花」 太田記念美術館(東京・渋谷区)

昨日、太田記念美術館(東京・渋谷区)で開催されていた
「江戸の絶景〜雪月花」に行ってみました。
表参道から一本ちょっと中側に入っただけで
原宿駅周辺の喧騒から離れて
ひっそりと佇む美術館です。
浮世絵に再現された当時の日本の景勝地などが
数々展示されていました。

DSC02653.jpg

色刷りの過程の解説も出ていましたが
色をのせるだけでも、それはとても
すごく繊細で、大変な工程。
だからこそ、版画と言えども微妙な美しい色合いが
再現されるわけですね。
努力家の天才じゃないと、きっとできないんだろうなあ。

さて今回は月と鳥、虹と鳥の組み合わせで
とても印象深かったものがあったので
ブログの中でご紹介したいと思います。
posted by Lana-Peace at 14:22| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

2016年10月17日

「白菊に紙雛図」鈴木其一  (サントリー美術館展示)

サントリー美術館(東京・六本木)の
「鈴木其一 江戸琳派の旗手」より
印象的だったものをご紹介。


白菊の手前に一対の紙の男雛と女雛が描かれています。 
今は雛人形は桃の節句に飾りますが、
解説板によると、江戸初期は菊の節句(重陽の節句)に
虫干しを兼ねて飾ったのだそうで
「後の雛(のちのひな)」と言うのだそうです。

半年ぶりに日の目を浴びる紙雛。
暗い箱の中では、楽しくないものね。
そして、虫干ししながら
大事に使っていたんだなあ。

掛け軸1枚にも、いろんな背景が
含まれていますね。

------*------*------*------*------*------
白菊に紙雛図
鈴木其一
一幅
江戸時代後期
個人蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 21:18| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

「雛掛物」鈴木其一  (サントリー美術館展示)

サントリー美術館(東京・六本木)の
「鈴木其一 江戸琳派の旗手」より
印象的だったものをご紹介。


縦17p、横7p、三幅対になった掛物は
左幅に鯉と浮草 
中幅に蓬莱山と日輪と白鶴
右幅に白椿とオシドリが描かれて
鯉や鳥はそれぞれ一対。
雛道具の一つとして考えられていたそうですから
やはりペアの縁起物ですね。

特にオシドリの表情がとてもかわいいのです。
小さくても非常に美しいです。

------*------*------*------*------*------
雛掛物
鈴木其一
三幅対
江戸時代後期
滴翠美術館所蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 21:15| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

2016年10月14日

「日出五猿図」鈴木其一  (サントリー美術館展示)

サントリー美術館(東京・六本木)の
「鈴木其一 江戸琳派の旗手」より
印象的だったものをご紹介。

木につかまる墨画の五匹のテナガザルは
その身体で円を成しています。
いつまでも手をつないだそのご縁は
途切れないよっていうかのように。
つぶらな瞳のテナガザルは
実にかわいい表情です。

円の中央にはとても淡い朱色の初日が
描かれています。
それはとても穏やかで、
大きな包容力があるような太陽。

「五猿」は「ご縁」ということで、
縁起の良い画題だったそうです。


解説板によると倉敷の塩田王 野ア武左衛門に仕えた
西井多吉(号 五猿)が蒐集した可能性があるのだとか。


絵全体から出てくる空気感が、
実にいいなあって思える日出五猿図です。


------*------*------*------*------*------
日出五猿図
鈴木其一
一幅
弘化5(1848)年
野ア家塩業歴史館所蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 12:08| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

2016年10月13日

「夜桜図・暁桜」鈴木其一  (サントリー美術館展示)

サントリー美術館(東京・六本木)の
「鈴木其一 江戸琳派の旗手」より
印象的だったものをご紹介。

墨の濃淡で描かれた夜桜。
現代の夜桜は煌々とした電灯に照らされたお花見ですが
江戸時代当時は、夜桜ってこういうものだったのだろうなあと
あらためて思う次第であります。

一方、暁桜は背景が淡いオレンジで
これから日の出に照らされて桜も色づきそうな
そんな美しい空気感満載です。

其一の時代も美しい桜が咲いていたんだなあ。

------*------*------*------*------*------
夜桜図・暁桜
鈴木其一
双幅
江戸時代後期
黒川古文化研究所所蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 10:16| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

「十二ヶ月花鳥図扇面」鈴木其一  (サントリー美術館展示)

サントリー美術館(東京・六本木)の
「鈴木其一 江戸琳派の旗手」より
印象的だったものをご紹介。


12面の扇の中でも印象深かったのが
- 青いスミレと黄色と白の蝶
- 金雲を渡る鳥の群れ
- 里芋の葉の上に露があるもの でした。

七夕の朝、朝露を硯に注ぎ、
墨を摺って願い事を書くという習慣があったそうです。

その露は葉の中央に2つ。葉の上で表面張力を持って
凛とした、でも零れ落ちていきそうな滴でした。

------*------*------*------*------*------
十二ヶ月花鳥図扇面
鈴木其一
十二面
江戸時代後期
ファインバーグ・コレクション
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 10:14| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

2016年10月12日

「白衣観音像」鈴木守一  (サントリー美術館展示)

サントリー美術館(東京・六本木)の
「鈴木其一 江戸琳派の旗手」より
印象的だったものをご紹介。


本絵部分に白衣観音が描かれ
周囲の表装に金泥で観音経がびっしりと。
観音様は右手に草のようなものを手にして
左手に何か小さな湯呑のような入れ物を持っています。
そして観音様の左足元には大きな白い蓮が描かれ
上の葉から下の葉へ水滴がしたたっています。
その様子はまるで、もうひとかたの観音様(蓮)のご加護が
人々に行きわたっているかのようです。

------*------*------*------*------*------
白衣観音像
鈴木守一
一幅
明治時代前期〜江戸時代後期
個人蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 17:20| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

「藤花図」鈴木其一 (サントリー美術館展示)

サントリー美術館(東京・六本木)の
「鈴木其一 江戸琳派の旗手」より
印象的だったものをご紹介。

こちら、元仏間の襖絵だそうです。
紫の藤の花を、臨終に来迎する
阿弥陀如来の紫雲に見立てたものだそうです。

実際見た色合いは
紫と言うよりも青色でした。

10年ほど前に京都府立植物園で見た
ソライロアサガオ「ヘブンリーブルー」のような青色。

そしてこの絵の背景にあった
濃い灰色のいくつもの点は、銀砂子とのこと。
この襖で仕切られた向こう側に
仏壇があったのでしょうが
当時、襖絵が陽射しや行燈の灯りに照らされた時、
銀砂子の放つ光は、異界を思わすような雰囲気を
醸し出していたのだろうと想像いたします。

------*------*------*------*------*------
藤花図
鈴木其一
一幅
江戸時代後期
細見美術館所蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 17:16| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

2016年10月11日

「桜花返咲図扇面」鈴木其一 (サントリー美術館展示)

サントリー美術館(東京・六本木)の
「鈴木其一 江戸琳派の旗手」より
印象的だったものをご紹介。


赤く色づいた葉っぱが2枚と
淡いピンクの桜が3輪。

解説板によると鈴木其一は
返り花と紅葉の取り合わせを特に好み、
「老境に至り、今一度花を咲かせる意が汲み取られる」と
解釈されていました。

そんな風に年を重ねられるといいね。
なかなか、そう思うようにはいかないものだけど。

------*------*------*------*------*------
桜花返咲図扇面
鈴木其一
一幅
江戸時代後期
細見美術館所蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 08:20| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

「蔬菜群虫図」鈴木其一 (サントリー美術館展示)

サントリー美術館(東京・六本木)の
「鈴木其一 江戸琳派の旗手」より
印象的だったものをご紹介。


胡瓜、茄子の一連の成長ぶりが
一枚の図に収められています。
花から小さな実になり、だんだん大きくなって、
やがて葉っぱは枯れていく。
その間には赤とんぼや小鳥など、
いろいろな生物が行き交っています。

人生や社会を凝縮したかのような図でした。
いろいろ考えちゃうね。


------*------*------*------*------*------
蔬菜群虫図
鈴木其一
一幅
江戸時代後期
出光美術館所蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 08:19| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

2016年10月10日

安政5年 コレラ流行によって閉じた鈴木其一の人生

サントリー美術館(東京・六本木)の
「鈴木其一 江戸琳派の旗手」会場内に
掲示されていた年表によると
鈴木其一は安政5(1858)年9月10日に63歳でコレラで没し、
なんと歌川広重も同年9月6日に同じくコレラで
62歳で没したのだそうです。

安政5年はコレラが大流行した年。
その流行の大きさは「流行病追討戯軍記(安政5年)」といった錦絵も
作られたことからも物語っていると思います。
こちらの錦絵は内藤記念くすり博物館のHPに掲載されています。
数万人も犠牲になったコレラ(狐狼利疫病)を退治するために
「施薬虎之助頭諸人為成」を大将軍として結成された疫病除軍が
「狐狼利疫病の守 平忌成」を大将とする疫病軍と戦って、収めたというお話。

予防注射や特効薬もなかった時代。
これからまだまだ活躍、という時に
あっという間に体調を崩してこの世を去った其一は
きっと無念だったことだろう。
晩年、「菁々」と改めた号には
人材育成を意味するすることを意味するものだとか。
弟子を育てて、いろいろ後世につないできただろうけれど
たくさん、思い遺すこと、あったのだろうと思います。
posted by Lana-Peace at 13:08| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

「朝顔図屏風」鈴木其一 (サントリー美術館展示)

サントリー美術館(東京・六本木)の
「鈴木其一 江戸琳派の旗手」より
印象的だったものをご紹介。

以前、根津美術館で見た尾形光琳の燕子花図も
とても大きくて迫力がありましたが
それ以上に鈴木其一の朝顔図屏風も大きな屏風。

根津美術館、メトロポリタン美術館の
それぞれのHP掲載の寸法を見てみると
朝顔図屏風の方が縦も横も
二十数センチほど大きいようなので
なるほどなーと思いました。

朝顔のつぼみや、開花した花
葉、蔓、その先端、
それぞれが活き活きしています。

10年ほど前、京都造形芸術大学通信教育部の
日本美術史のスクーリングで
須賀みほ先生が授業でおっしゃっていたことを
思い出してしまいました。
屏風はいろんな角度で見ると
その奥行き感も、当った光の具合でも
随分印象が変わるという話。
だからいろんな視点からみなくちゃ、
その良さが伝わってこないという話。
今回も、あっちこっち移動してみました。
そうすると朝顔図屏風、
屏風に近いところから斜めで見ると
異空間に通じて開けているような
そんな感じがいたします。

遠くで見ても美しいのですが
近寄ってみると、一輪一輪とても丁寧に
描きこまれているのがわかります。
たくさんの花々で重そうな蔓が
それでもまだ上を向いて、
小さな緑の葉っぱをつけて
天に向かって伸びていく姿は
濃紺のお花と同じくらい、美しかったです。

------*------*------*------*------*------
朝顔図屏風
鈴木其一
六曲一双
江戸時代後期
メトロポリタン美術館所蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 11:58| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

「雪中檜に小禽図」酒井抱一 (サントリー美術館展示)

サントリー美術館(東京・六本木)の
「鈴木其一 江戸琳派の旗手」より
印象的だったものをご紹介。

其一の師、酒井抱一の作品です。
雪の積もる庭の檜の根元に
墨の濃淡で描かれたあどけない小さな鳥。
その胸と腹は淡い黄色で、実に温かみのある色合い。
静寂の庭の中に小鳥の小さなさえずりや
体温が伝わってきそうで
ほのかだけど確かな生命が感じられるものでした。


------*------*------*------*------*------
雪中檜に小禽図
酒井抱一
一幅
江戸時代後期
細見美術館所蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 11:23| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

「鈴木其一 江戸琳派の旗手」サントリー美術館(東京・六本木)

昨日、サントリー美術館(東京・六本木)で開催されていた
「鈴木其一 江戸琳派の旗手」を見に行ってきました。
とても見ごたえのある作品がたくさん!!

その中でも特に生命感が伝わってくるものや
スピリチュアルな世界観、といった点から
印象深かったものを何回かに分けて
ご紹介しようと思います。

東京での会期は2016年10月30日(日)まで。
これ以降は姫路と京都を巡回するそうです。
姫路市立美術館 (展示期間:2016年11月12日〜12月25日)
細見美術館(京都)(展示期間:2017年1月3日〜2月19日)

DSC06234.jpg
posted by Lana-Peace at 11:08| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

2015年12月24日

小林清親「御茶水蛍」(MOA美術館)

先日訪れたMOA美術館(静岡県熱海市)の常設展から
印象的だったものをご紹介。

暗闇の中、岸に挟まれた川に一艘の小さな屋形船。
障子窓からほのかな灯りが漏れていて
川面に映るその反射がとても美しいです。
そしてその周りには、
白い蛍の明かりが船を取り囲むようにいくつも。
「御茶水蛍」というタイトルですが
かつて140年ほど前には東京 御茶ノ水にも
蛍が飛び交っていたのでしょうか。

なんだか幻想的な版画ですが、
時の移り変わりがとっても象徴されているなあと思いました。

小林氏は創作当時、そんなことは考えなかっただろうけれど…。

------*------*------*------*------*------
御茶水蛍
小林清親
明治10(1877)年頃
MOA美術館(静岡県熱海市)所蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 13:39| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

2015年12月21日

本阿弥光悦「花卉摺絵新古今集和歌巻」(MOA美術館)

MOA美術館(静岡県熱海市)の「琳派の美 光悦・宗達から抱一まで」より
印象的だったものをご紹介。

木版金銀泥による竹の質感は、本物の竹以上に竹のような
感じを受けました。
濃淡と白とで表現していく竹の幹や節は
そこに命が宿っているかのようでした。

美術館に隣接した竹林の竹よりも
ずっと、存在感を放っていました。
それってすごいことだなあ。

------*------*------*------*------*------
花卉摺絵新古今集和歌巻
本阿弥光悦
桃山〜江戸時代, 17世紀
34.1×全長907.0
MOA美術館(静岡県熱海市)所蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 00:11| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

2015年12月20日

酒井抱一「雪月花図」(MOA美術館)

MOA美術館(静岡県熱海市)の「琳派の美 光悦・宗達から抱一まで」より
印象的だったものをご紹介。

向かって左側に松・中央に月、向かって右に桜が描かれ
並べられた三幅は、それぞれの図柄が
向かって左上から右下に向かって
一本の線状に連なっています。

その中で特に心に残ったのが
濃淡の墨で描かれた中央の雲居の月。

シンプルな色使いなのに、
実にいきいきとしていました。

松葉の緑を引き立てる白雪も
美しさを競い合うような花びらの色もないけれど
その存在感は実に圧倒的。


------*------*------*------*------*------
雪月花図
酒井抱一
文政3(1820)年
各91.4×35.1
MOA美術館(静岡県熱海市)所蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 10:57| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

酒井抱一「蛍団扇自画賛」(MOA美術館)

MOA美術館(静岡県熱海市)の「琳派の美 光悦・宗達から抱一まで」より
印象的だったものをご紹介。

今回の展覧会の作品の中で
一番、「生命」が感じられるものでした。

画面下半分に団扇、上半分に蛍が配されているのですが
その蛍は、まるで団扇から抜け出て
ふわふわと空気中を漂い、
ほのかな光を放っているかのようです。

すごく幻想的で、でも、存在感があって
何度も展示場所に戻って見てみましたけど、
その絵自体に何か不思議な力があるような
そんな感じがしました。

------*------*------*------*------*------
蛍団扇自画賛
酒井抱一
江戸時代 19世紀
MOA美術館(静岡県熱海市)所蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 10:51| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

2015年12月19日

尾形乾山「銹絵染付梅花散文蓋物」(MOA美術館)

MOA美術館(静岡県熱海市)の「琳派の美 光悦・宗達から抱一まで」より
印象的だったものをご紹介。

梅の花が紺、白、淡茶色で、たくさん重なっている様子を
表現されている蓋つきの容器です。
時代は平成になっても、家の中のインテリアに
さりげなく溶け込んでしまう感じです。
あったかい感じのする梅の花の模様です。

蓋と容器にそれぞれに梅花の模様が描かれているわけですが
正面と右側は特に上下の模様合わせはなかったけど
向かって左側から見ると、梅の模様がぴったりあっていました。
すべて合わせるのは粋じゃなくて
よく見たら一部合ってるところがあるぞ!、みたいなのが
粋だったのかな?

------*------*------*------*------*------
銹絵染付梅花散文蓋物
尾形乾山
江戸時代 18世紀
総高8.5 蓋縦21.0 横20.3
MOA美術館(静岡県熱海市)所蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 17:16| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

尾形乾山「色絵十二ヶ月歌絵皿」(MOA美術館)

MOA美術館(静岡県熱海市)の「琳派の美 光悦・宗達から抱一まで」より
印象的だったものをご紹介。

こちら12枚の額絵皿です。
縁のところに描かれている模様は
素朴なタッチの線の組み合わせですが
絵皿の表には、それとは随分雰囲気の違う繊細なタッチで
木々、草花、鳥が描かれています。

その線の美しさは
「焼き物でよく、こんなにきれいに表現できるなあ」と
しみじみ思えるほど。

さて12枚のお皿は12か月分を表しているわけですが
1枚だけ、お皿の縁の部分が抜きんでて高いものがありました。
9月の絵皿。それはどうしてなんだろう?
縁取りの文様も、他のものに比べてちょっと手が込んでいます。

乾山にとって、9月は特別な月だったのかなあ。謎。

美術館から帰った後、この絵皿のことを調べてみたら
こちら藤原定家の「詠花鳥倭歌各十二首」にちなんだもの。
裏面には花と鳥の歌各一首ずつ、
表面にその歌を表した絵が描かれているとのこと。

せっかくだったら、その裏面も鏡を使って見せてほしかったなあ。

------*------*------*------*------*------
色絵十二ヶ月歌絵皿
尾形乾山
元禄15(1702)年
MOA美術館(静岡県熱海市)所蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 17:14| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

2015年12月17日

尾形光琳「虎図屏風」(MOA美術館)

MOA美術館(静岡県熱海市)の「琳派の美 光悦・宗達から抱一まで」より
印象的だったものをご紹介。

2メートル弱くらい高さがありそうな屏風ですが
虎の表情が実にユーモアに溢れて、
「かわいい」感じの虎です。
絶妙なタッチで虎の毛が描かれています。
抜き足、差し足、忍び足… そんな感じで
左前方に向かって近寄ってくるような、虎の絵。

室内にしつらえても、邪悪なものをはねのけるというより
なんだか楽しい雰囲気でお部屋の中がいっぱいになるかも。

------*------*------*------*------*------
虎図屏風
尾形光琳
江戸時代 18世紀
MOA美術館(静岡県熱海市)所蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 12:37| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

伝 尾形光琳「絖地秋草模様描絵小袖」(MOA美術館)

MOA美術館(静岡県熱海市)の「琳派の美 光悦・宗達から抱一まで」より
印象的だったものをご紹介。

紺と白の組み合わせってきれいですね。
桔梗をはじめとした草花は、
小袖の上で永遠の命を得て
そこに存在しているという感じです。

ところで小袖を展示する時、背面の部分ばかり展示されているけど
できれば、壁側に大きな鏡を一枚置いてくれるといいのになあ。
美術館の展示ではいつも背面だけど
本来、着物って、前から見る印象も
すごく大切なのではないかなあ。

大部分の庶民にとって畳や板の間に直に座ることが多かった生活、
膝下は正座で隠れてしまう事が多かったから
胸元のあわせのところとか、帯より上のところ、
きっと光琳は力を入れただろうと想像するのだけど。

身にまとって、帯を締めた後、
外側に見ることのできる文様の部分は
連なりをもって現われてくるはず。
身体の起伏にあわせて見せる表情は
平面の絵柄とは異なるはず。
そう思うのだけど。
でもさすがに、それは古い展示物ではしわになったり、
亀裂が生まれたりして、無理だろうとは思いますが…。

------*------*------*------*------*------
絖地秋草模様描絵小袖
伝 尾形光琳
江戸時代 17〜18世紀
157.0×61.0
MOA美術館(静岡県熱海市)所蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 12:36| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

尾形光琳「富士流水図」(MOA美術館)

MOA美術館(静岡県熱海市)の「琳派の美 光悦・宗達から抱一まで」より
印象的だったものをご紹介。

淡墨の空と淡いピンクと白の富士山、
その麓へと流れ出る淡青の川は
私のイメージしていた尾形光琳とは全然違ったのですが
こういう絵も描いたんだなあと
なんだかすごくいい意味で驚きでした。

優しいタッチで表現される富士山も
それは富士山が持つ一つの表情で
いいなあと思います。

光琳はどんな時間に、この富士の姿を見たのかなあ。
それとも心象風景なのかなあ。

------*------*------*------*------*------
富士流水図
尾形光琳
江戸時代 18世紀
MOA美術館(静岡県熱海市)所蔵
------*------*------*------*------*------
posted by Lana-Peace at 12:26| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

2015年12月16日

「琳派の美 光悦・宗達から抱一まで」MOA美術館(静岡県熱海市)

先日、熱海のMOA美術館で
琳派の企画展「琳派の美 光悦・宗達から抱一まで」を見てきました。

DSC00116.jpg

MOA美術館と言えば尾形光琳の「紅白梅図屏風」。
新幹線で熱海を通るたびに、
「いつか見に行こう!いつか行こう!」と思っていました。
琳派の企画展だったので、当然今回の展覧会でも
展示されているだろうと、勝手に期待したのですけど、
当日会場に展示されていたのは、なんと複製。

所蔵しているというのに、ああ、なぜ複製…?
せっかく出かけたというのに、ああ、なぜ複製…?
本当に残念。。。

さて気を取り直して、MOA美術館の紹介です。
バスに乗っていったのですけど、コインロッカーに荷物を預けて、
入口に入ってみると、いくつものエスカレーター。
乗っても、乗っても、まだあるよ…。

美術館入口からエスカレーターに乗っても
展覧会会場まで到着するのに、5分くらいかかりました。
「そのつもり」で行った方が良いですね。

途中は、こんな天井で色がだんだん変わっていくので、
それを楽しむことにして。

DSC00068.jpg

当日あいにくの霧雨。
高台にあるMOA美術館から見えた海と空は
区切りがまったくわからないほどの灰色でした。

DSC00070.jpg

でも、雨なら雨の味わいもあり、
隣接されている庭園の松は
まるで長谷川等伯の松林図屏風のようでした。

DSC00098.jpg

DSC00101.jpg

そして雨滴に濡れた紅葉の枝は
艶やかで、枝先までもきれいだったし。

DSC00089.jpg

DSC00088.jpg

竹林のお庭は門が閉鎖されていて
散策できなかったけど
上から見た入口近くのススキは
酒井抱一「夏秋草図屏風」を髣髴とさせるような
雰囲気もあり。

DSC00113.jpg

展覧会で見た作品で、いろいろと印象に残ったものを
いくつかこちらのブログでご紹介しようと思います。
posted by Lana-Peace at 22:14| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸