2018年12月01日

深鉢と共に眠っていた縄文時代中期の少年(北海道・大船遺跡)

北海道函館市の大船(おおふね)遺跡から
廃屋跡を利用したお墓が見つかりました、
そこに埋葬されていたのは10歳の少年。
歯が6本見つかったのだそうです。

そして副葬品としてお墓に土器が埋められていたのですが
報告書に描かれていた土器の文様を見て
とても驚きました。

深鉢は縄目の文様だけでなく、
直線、弧、渦巻などいくつかの形状が見られますが、
それが死者の癒しや死者の再生、
あるいは、人が死する時、精神を支える気の「魂」は天に帰り、
肉体を支える気の「魄」(はく)は地に留まるという
中国の道教の魂魄(こんぱく)思想が
まるで凝縮されているかのような文様です。

そして頭の向きと同じ方向に向けられた
2つの土器の開口部は
実は真東の方向、すなわち噴火湾・太平洋に向かっていたのでした。
闇夜を消し去り、昇り行く朝日のエネルギーを
存分に受けるためだったのでしょうか?

今となっては想像するしかないけれど
それにしても、大船遺跡に生きていた人々は、
非常に奥深い精神文化の生活をしていたのだろうと思います。

歯と土器は大事にどこか収蔵されているのかなあ。
いつかちゃんと実物を見てみたいです。
少年の生きた証だものね。
今は報告書やパンフレットの世界の中でしか
わからないのだけど。


詳しくはこちらに書きました。

Lana-Peaceエッセイ
アート・歴史から考える死生観とグリーフケア
「深鉢と共に眠っていた縄文時代中期の少年」
(北海道 大船遺跡)
http://www.lana-peace.com/2/2-4-081.html

2018年10月07日

垣ノ島B遺跡 9,000年前の墓から出土した漆製品(北海道函館市 蔵)

縄文時代早期前半の土坑墓から見つかった
9,000年も前の漆製品、
それはまるで東洋医学の経穴・経絡の要所、要所を
押さえたかのように、埋葬された人の頭、肩、手頸、すねを
飾っていた装飾品でした。
こちら、出来上がった布に漆が塗られているのではなく、
漆の糸からわざわざ作られたものでした。
当時の人々は漆かぶれを起こすウルシノキに
敵を撃退するような強い特別な力を見い出し、
漆液から作り出される漆製品に
その力が宿っているように感じていたのかもしれません。
「死」は「終わり」を意味するものではなく、
死後の世界の存在を認識していたからこそ、
こうした漆製品による装飾で死者を守ったのだろうと思います。
邪悪なものから死者を守り、安寧な時間を過ごしてもらうために。

それは9,000年前の人々の、死者へのあたたかい眼差しの表れだと思います。

詳しくはこちらに書きました。

Lana-Peaceエッセイ
アート・歴史から考える死生観とグリーフケア
「垣ノ島B遺跡 9,000年前の墓から出土した漆製品(北海道函館市 蔵)」
http://www.lana-peace.com/2/2-4-080.html

2018年10月04日

垣ノ島A遺跡 足形・手形付土製品(北海道函館市 蔵)

先日こちらで北海道函館市の豊原4遺跡出土の
足形・手形付土製品についてご紹介しましたが
今日は同じく函館市の垣ノ島A遺跡から出土した
足形・手形付土製品をご紹介したいと思います。
全体で17枚もの土版が出土しましたが
中でも12畳相当以上のスペースもある大きな
土坑墓P-181から10枚の土版が出土しました。
そのそばにあった柱の跡は勝手に想像を膨らませると
まるで結界が張られ、祭壇が築かれていたかのようです。
出土したつまみ付ナイフも色の順番などがありました。
そして土坑墓で火を使って何らかの儀式が行われたと
推測できる痕跡もありました。
その背後にあるストーリーはとても奥深そうです。
謎だらけではあるけれど
6500年前の彼の地の海岸段丘に
こどもの命を慈しみ、土版にこどもの足跡を残した人々が
いたことは紛れもない事実です。


詳しくはこちらに書きました。

Lana-Peaceエッセイ
垣ノ島A遺跡 足形・手形付土製品
(北海道函館市 蔵)
http://www.lana-peace.com/2/2-4-079.html

2018年09月20日

6,500年前の夭逝したこどもの命と親の愛情が感じられる足形・手形付土製品(北海道函館市 蔵)

2018年5月、北海道の函館市縄文文化交流センターを訪れた時、
とても印象深く釘付けになったものがありました。
それは函館市の遺跡から出土した縄文時代の土版です。
素朴な形と色合いの土版には、
小さなこどもの足形が残されていたのでした。
数千年もの時間を経て、見つかったこの土版。
そこにはっきりと残っていたこどもたちの足指の跡は、
たしかにあの時代、あの場所でこどもたちの人生が
息付いていた事実を物語っていました。

その後2018年8月、東京国立博物館で開催された
特別展「縄文―1万年の美の鼓動」に行ったところ、
なんとあの時の土版がまた出展されていたではありませんか!
土版がかわいらしい声で語りかけてくるかのようでした。

後日、土版出土時の情報が詳しく記された豊原4遺跡報告書を
東京 千代田区の国会図書館で閲覧してみました。
  函館市教育委員会編(2003)『豊原4遺跡』函館市教育委員会
展示会場では館内照度の具合や、ケースの反射などの関係で、
隅々まで十分見れるわけではないし、
私の事前の情報収集が不十分で
肝心な所をいくつも見落としていたのですが
報告書にあった土版の写真、線描画、拓本、その他の文字情報により
会場の展示ではまったく気付けなかったことを知ることができました。
冊子の報告書だけでなく、付帯のCD-Rの中には
パワーポイントやエクセルの画像・データなどが収載されていて
あまりのリアルな情報と膨大な存在感に圧倒されました。
1枚1枚ゆっくり見てみたかったけれど、図書館の閉館時間までには
とても間に合いそうもなかったので、途中で諦めました。
この発掘調査に携わったあらゆる方々の
丁寧な仕事ぶりや努力が伝わってくるようでした。

土版の作成事情など、当時に遡らなければ、
わからないことが多いけれども、
こどもへの愛情や思慕の情があふれているこの土版、
たくさんの人に知ってほしいなと思いました。
心が荒んだ人にはあの土版に残された小さな指の跡を
見てほしいと思います。
いろいろなことを語りかけてくれるはずです。
あの土版は本当に……泣けてくる。

北の大地に眠っていた6500年前の
こどもの命、親の気持ち。

土版の足形の裏面は、なんと手形が残っています。
こどもの手形?そう思っていましたが
そうではありません。
土版に足底を押し当てるために
土版に添えられた大人の手。
それはその子の親の手でしょうか?
表にはこどもの命、裏には親の命。
実物を見ても手形までは気付かなかったのですが
拓本ではその存在がリアルに蘇っています。

土版は土坑墓という当時のお墓から見つかっています。
我が子が夭逝した後、親も亡くなり、
その時、我が子の足形の土版と共に葬られたのだと思います。
死は終わりではない、そう思って。
死は新たな世界での始まりだったのかもしれません。
親子が再会して、また共に暮らす人生の新たな始まり。


北海道函館市の豊原4遺跡から出土した
こどもの足形をとった土版のお話、
詳しくはこちらに書きました。


Lana-Peaceエッセイ
アート・歴史から考える死生観とグリーフケア
「足形・手形付土製品(北海道函館市 蔵)」
http://www.lana-peace.com/2/2-4-078.html

2018年09月05日

「棺に由来するマスク(ルーヴル美術館 蔵)」

こちらでご紹介した国立新美術館のルーヴル美術館展に
棺に由来するマスク(エジプト美術部門 E11647)が
出展されていました。
ミイラのマスクは変遷を遂げて
肖像画へと変わっていきますが
永遠の生を求めた古代の人々の願いは
その制作技法にまでもこめられていたように思います。


詳しくはこちらに書きました。

Lana-Peaceエッセイ
アート・歴史から考える死生観とグリーフケア
「棺に由来するマスク(ルーヴル美術館 蔵)」
http://www.lana-peace.com/2/2-4-077.html

2018年08月25日

秋草文壺(国宝)(慶応義塾 蔵・東京国立博物館 展示)

2017年冬に川崎市夢見ケ崎動物公園を訪れた際、
近くの白山古墳から「秋草文壺」が出土したことが
公園内看板に記されていました。
それについてはブログでも紹介しましたが、
その実物を東京国立博物館で見ることができました。

秋草文壺、シンプルで素朴な図柄ではありますが、
どことなく品のあるあたたかい感じの壺でした。
線描された薄の様子は、
まるで穂を揺らす風の音さえも聞こえてきそうな、
そんな風情を醸し出しています。
故人の魂はこの壺の中でずっと秋を感じ、
秋草やトンボたちを愛でていたことでしょう


詳しくはこちらに書きました。

Lana-Peaceエッセイ
アート・歴史から考える死生観とグリーフケア
「秋草文壺(国宝)」
(慶応義塾 蔵・東京国立博物館 展示)
http://www.lana-peace.com/2/2-4-076.html

2018年08月24日

法隆寺献納宝物 光背(東京国立博物館 蔵)

東京国立博物館の法隆寺宝物館に
法隆寺献納宝物の光背がありました。

その中にひときわかわいい光背が。
銅板打ち出しによる化仏がついています。
お顔立ちは丸顔でふっくらとしていて、
何ともかわいらしく、微笑んでいるようです。
頸を少し左に傾げて合掌しています。
このような化仏に囲まれていれば、
亡くなった人も安らかで穏やかな時間が過ごせそうな気がします。


詳しくはこちらに書きました。

Lana-Peaceエッセイ
アート・歴史から考える死生観とグリーフケア
光背(東京国立博物館 蔵)
http://www.lana-peace.com/2/2-4-075.html

2018年08月23日

小型陶棺(東京国立博物館 蔵)

東京国立博物館に岡山県津山市河辺と
群馬県太田市から出土した
小型陶棺がありました。
がっしりした円柱型の脚部がついた
高床の陶棺です。

亡き人が心地良く過ごせるように、
身分の高い人がかつて生前暮らしていた家を模して、
陶棺を作ったのではないでしょうか。
高床であった方が雨や雪、風通し、
虫の害に悩まされることも少ないでしょう。
それは死者への思いやりかもしれません。

詳しくはこちらに書きました。


Lana-Peaceエッセイ
アート・歴史から考える死生観とグリーフケア
小型陶棺
(東京国立博物館 蔵)
http://www.lana-peace.com/2/2-4-074.html

2018年08月22日

岡山県 本坊山古墳出土の陶棺(東京国立博物館 蔵)

今日は岡山県瀬戸内市の桂山にあった本坊山(ほんぼうざん)古墳から、
須恵器の杯と共に明治16(1883)年、見つかった
須恵質の陶棺のご紹介です。
東京国立博物館にありました。
美しい複弁蓮華文が印象的です。

詳しくはこちらに書きました。

Lana-Peaceエッセイ
アート・歴史から考える死生観とグリーフケア
陶棺(東京国立博物館 蔵)
http://www.lana-peace.com/2/2-4-073.html

2018年08月21日

「小児用甕棺」(東京国立博物館 蔵)

東京国立博物館に佐賀県出土の弥生時代の甕がありました。
こちら二つ合せてこどもの棺として用いられたものです。
二つの甕を合せる口縁部は帽子のつばのように
少し広くなっていました。
亡くなった人が眠る空間(甕の内側)を
土砂や異物が入り込まないように、
落ち着いた空間を作ってあげたいという気遣いから
生まれた工夫のように思います。

詳しくはこちらに書きました。

Lana-Peaceエッセイ
アート・歴史から考える死生観とグリーフケア
「小児用甕棺」
(東京国立博物館 蔵)
http://www.lana-peace.com/2/2-4-072.html

2018年08月20日

あどけない表情の土面(長野県松本市出土・東京国立博物館 蔵)

縄文時代に作られた土面、
それは儀式に使われたと考えられています。
でも長野県松本市から出土し、
東京国立博物館に展示されていた3000年から4000年前の土面は
素朴であどけない口元の表情で
まるでかわいいこどもの一瞬の表情を切り取ったかのようです。
夭逝したこどものデスマスクとして作って
おうちの中で飾っていたのかなあと
個人的には思います。



詳しくはこちらに書きました。

Lana-Peaceエッセイ
アート・歴史から考える死生観とグリーフケア
土面(個人寄贈・東京国立博物館 蔵)
http://www.lana-peace.com/2/2-4-071.html

2018年08月19日

三彩女子(東京国立博物館 蔵)

かわいい小鳥を右手に微笑む三彩女子、
東京国立博物館に展示されていました。
かわいい小鳥の清らかなさえずりが聞こえれば、
死後の世界でも穏やかな時間を過ごせるのではないか……
遺された者たちのそういった死者への願いが込められているようでした。

Lana-Peaceエッセイ
アート・歴史から考える死生観とグリーフケア
三彩女子
(個人寄贈・東京国立博物館 蔵)
http://www.lana-peace.com/2/2-4-070.html

2018年08月18日

三彩牛車・馭者(東京国立博物館 蔵)

東京国立博物館に展示されていた7世紀の三彩牛車・馭者、
とてもきれいでしっかりした作りです。

死後の世界でも、思うままにお出かけして、
楽しく過ごすことができますように…
そういう願いが伝わってくるようでした。

詳しくはこちらに書きました。

Lana-Peaceエッセイ
アート・歴史から考える死生観とグリーフケア
三彩牛車・馭者
(個人寄贈・東京国立博物館 蔵)
http://www.lana-peace.com/2/2-4-069.html

2018年08月17日

加彩方壺(かさいほうこ)(東京国立博物館 蔵)

前漢時代の明器、加彩方壺が東京国立博物館に展示されていました。
形も色合いも、とても美しい明器です。
漆器を写した明器と考えられているこの壺、
共に埋葬されていた死者もきっと
美しいものをこよなく愛していた方なのだろうと思います。

詳しくはこちらに書きました。

Lana-Peaceエッセイ
アート・歴史から考える死生観とグリーフケア
加彩方壺(かさいほうこ)
(個人寄贈・東京国立博物館 蔵)
http://www.lana-peace.com/2/2-4-068.html

2018年08月16日

加彩しきょう壺(東京国立博物館 蔵)

東京国立博物館にかわいいミミズクの小さな壺がありました。
亡くなった方の死後の世界での生活に困らないように
納められた明器です。
2000年ほど前の中国で作られた「加彩しきょう壺」
存在感は抜群です。

詳しくはこちらに書きました。


Lana-Peaceエッセイ
アート・歴史から考える死生観とグリーフケア
「加彩しきょう壺(東京国立博物館 蔵)」
http://www.lana-peace.com/2/2-4-067.html

2018年08月15日

東小田七板遺跡出土の土器(福岡・筑前町教育委員会 蔵, 東京国立博物館展示)

東京国立博物館に福岡県の東小田七板遺跡出土の
土器が展示されていました。
数多く発見された甕棺墓と共に見つかった
祭祀土坑から発掘された丹塗磨研土器です。
赤色顔料が塗られ、土器表面が丁寧に磨かれているこの土器、
赤い土器、と言われても現代人のイメージする「赤」とは違い
経年退色の影響なのか、明るいブラウンの土器だけど
確かに他の土器と比べると、随分異なります。

こちらでは黒く着色した土器も見つかっているそうです。

赤と黒の土器の意味、
いろいろ考えてみると弥生時代の精神世界、奥深いです。

詳しくはこちらに書きました。


Lana-Peaceエッセイ
アート・歴史から考える死生観とグリーフケア
東小田七板遺跡出土の土器
(福岡・筑前町教育委員会 蔵)
http://www.lana-peace.com/2/2-4-066.html

2018年08月14日

加彩楽人(東京国立博物館 蔵)

唐時代・7〜8世紀の女性の加彩楽人俑は
全体的にあたたかみのある、優美な雰囲気を強く漂わせていました。
4体の楽人の奏でる弦楽器と打楽器の音楽のおかげで、
俑と共に埋葬されていた人は
きっと心地良く過ごせていたことでしょう。


Lana-Peaceエッセイ
アート・歴史から考える死生観とグリーフケア
「加彩楽人(東京国立博物館 蔵)」
http://www.lana-peace.com/2/2-4-065.html

2018年08月13日

画像石 舞人・楽人(東京国立博物館 蔵)

中国山東省魚台県から出土した
後漢時代の舞人・楽人の画像石が
東京国立博物館に展示されていました。
太鼓を叩く人、お手玉でジャグリングをする人、
長い袖を振り回して踊る人、琴を弾く人、
手拍子を打ちながら歌う人、
簫(しょう)を奏で、でんでん太鼓でリズムをとる人。
とっても賑やかで活気溢れる場面です。
この画像石が飾られていたお墓で眠っていた人はきっと、
死後の世界で明るく、楽しい気持ちで過ごせていたことでしょう。

詳しくはこちらに書きました。


Lana-Peaceエッセイ
アート・歴史から考える死生観とグリーフケア
「画像石 舞人・楽人(東京国立博物館 蔵)」
http://www.lana-peace.com/2/2-4-064.html

2018年08月12日

加彩舞人・楽人(東京国立博物館 蔵)

東京国立博物館に展示されていた「加彩舞人・楽人」。
中国では後漢時代、墳墓に葬られる主人に娯楽を提供する舞人・楽人の俑が
とても流行したそうです。
死者の魂を慰め、死後の世界での生を楽しいものでありますように、
という願いが感じられる元気いっぱいの俑です。

詳しくはこちらに書きました。

Lana-Peaceエッセイ
アート・歴史から考える死生観とグリーフケア
「加彩舞人・楽人(東京国立博物館 蔵)」
http://www.lana-peace.com/2/2-4-063.html

2018年08月11日

埴輪 琴をひく男子(個人 蔵・東京国立博物館展示)

東京国立博物館に椅子に座って、膝の上に琴をのせて弾いている
男性の埴輪がありました。
琴、と聞くと美しい音色を思い浮かべますが
古代では神と人とを結ぶものであり、
神託を受けるために使われていたそうです。
そうすると、生前そうした仕事に携わり、亡くなった被葬者は
亡くなってもなお、死後の世界で神の言葉を受けて、
この世の人の生活が安寧であるように守るお仕事を
埴輪と共にしていたのかもしれません。

詳しくはこちらに書きました。

Lana-Peaceエッセイ
アート・歴史から考える死生観とグリーフケア
「埴輪 琴をひく男子
(個人 蔵・東京国立博物館展示)」
http://www.lana-peace.com/2/2-4-062.html