2014年05月10日

尾形光琳,中村芳中「燕子花図」

先日訪れた千葉市美術館の「光琳を慕う―中村芳中」展示より
印象深かった絵のご紹介です。

3 尾形光琳, 燕子花図(18世紀, 紙本金地着色, 一幅, 35.0x115.0cm, 大阪市立美術館)
パンフレットに写真が出されていたのですけれど、実物を見ると、印刷物よりも
もっと黄色味が茶っぽい感じでした。
遠景から見ると二つの燕子花の山があるのですけれど、
向かって左側の燕子花の葉は長く横に伸びて、
ちょうどその葉先から雫が跳ね飛んだような位置に、丸い落款が。
燕子花のいきいきした生命感が伝わってきそうです。

70 中村芳中, 燕子花図扇面(18〜19世紀, 紙本着色, 一幅, 24.4x62.6cm, 根津美術館)
薄墨に緑青で燕子花が描かれているのですけれど、葉が金泥がたらしこみされていて、
それが枯れかかった感じを実によく表現しているのです。
少し折れてしまったり傷がついた葉は、そこから色が淡黄に変色していきますよね。
あの雰囲気がとても伝わるのです。

同じ題材に向かっても、人が違えば、捉えどころも違いますが、
その時に咲いていた燕子花の命が伝わってくるところは、素晴らしいですね。
来週はいよいよ、根津美術館の尾形光琳 燕子花図屏風を見てこようと思います。
posted by Lana-Peace at 22:39| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸