2014年05月03日

中村芳中 ほのぼのした鹿

先日訪れた千葉市美術館の「光琳を慕う―中村芳中」展示より
印象深かった鹿の絵のご紹介です。

62 中村芳中, 雑画巻(18〜19世紀, 絹本着色, 一巻, 28.0x578.0cm, 真田宝物館)
前松代藩主 真田幸弘のために特別に描いたものだそうです。
鹿が描かれているのですが、黒い丸で表現されている目が、実に優しい目。
後ろ向きの鹿の尻尾は白のたらしこみですけど、
ふさふさした毛の感じがとても伝わってくるものでした。
8年前訪れた奈良の春日大社参道付近の鹿の写真を出してみましたが
確かに尾は白。びっくり。
芳中の見た鹿もやっぱり、目と尾の感じは同じようだったのかなあ。

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106 中村芳中, 月に萩鹿図(18〜19世紀, 絹本着色, 一幅, 111.0x41.0cm, 細見美術館)
鹿の目がはっきりまん丸の中に点。かわいいです。

110 中村芳中, 鹿図(18〜19世紀, 紙本墨画, 一幅, 116.1x25.9cm, 個人蔵)
墨一色の濃淡で描かれた鹿はうつむき加減で、すっと立つ姿はとても寂しそう。
眼は黒い丸なのですけど。やっぱり寂しそう。
どうしてなのかな。

命はいつか尽きるものだけれど、
絵の中に残された命は200年以上たっても、こうして生き続けている。
絵に命を吹き込むって、すごいことですね。

posted by Lana-Peace at 14:51| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸