2014年04月23日

セウォル号沈没の犠牲になったお子さんのために―アンデルセン『天使』より

韓国の珍島付近で旅客船セウォル号が沈没して、一週間になります。
亡くなった方のご家族の気持ち、
そしてまだ安否がわからない方のご家族の気持ちを考えると、
非常に胸が痛みます。
乗員乗客のうち、その大半は修学旅行を楽しむ高校生と学校の先生だったとのこと。
青春時代の楽しい思い出がたくさんできるように…
そう見送ったはずなのに、こんなに悲しいことになってしまうとは、
本当に心痛、極まりないものと思います。
まるで心をかきむしられるような思いでいらっしゃるかもしれません。

人それぞれ、信仰の違いはあると思いますが、
先日読んだアンデルセンの童話の中で、非常に心に残る言葉がありました。
『天使』という童話です。

ハンス・クリスチャン・アンデルセン著, 大畑末吉訳(2000)
『アンデルセン童話集2 新版』 岩波書店

この童話は、亡くなった子どもを天使が天国へと連れて行く途中、
会話している場面から、お話が始まります。

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「よい子が死ぬとね、そのたびに神さまの天使がこの世におりてきて、
その死んだ子を腕にだきあげ、大きな白いつばさをひろげて、
その子のすきだったほうぼうの場所へ飛んでいくのですよ。
そして、手にいっぱい花をつんで、神さまのところへもっていくのです。」

引用文献: 前掲書, p.85

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そして町の空の散歩を終えて、お花を摘んで花束を作った後、
天使と子どもは天国に到着します。

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ちょうどそのとき、ふたりはよろこびと幸福とに、
みちあふれている神さまの天国にはいりました。
神さまは、死んだ子を胸にだきました。
すると、天使と同じようなつばさがはえて、
ふたりは手をつないで飛びまわりました。

引用文献: 前掲書, p.90
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アンデルセンの童話ですから、きっと韓訳されて、韓国でも出版されていることでしょう。
英語のタイトルは「The Angel」です。
デンマーク語のタイトルは「Engelen」です。
お子さんのことを思って、胸が張り裂けそうなご両親、
いてもたってもいられないような気持ちのご家族に、知っていただきたい本です。

亡くなったお子さんの魂は天使によって天高く引き上げられ、
そして美しい世界で心安らかに、楽しく過ごしている…そんな風に思ってほしいです。
たとえ船の中に閉じ込められていようとも、
お子さんの魂は今、自由に、解放されていると信じて…。
そしてご両親、ご家族の愛情はお子さんの魂に十分届いていることを、
知ってほしいと思います。
それをご両親、ご家族に直接言葉で伝えられないことを、
誰よりももどかしく思っているのは、お子さんですから…。

アンデルセンの『天使』は1843年11月、出版されました。
171年越しのアンデルセンからのメッセージ、
犠牲になった子どもたちのご両親、ご家族に届いてほしいと思います。          

詳しくはこちらに書きました。

悲しみで心の中がふさがった時 
天使と過ごす自由な魂
http://www.lana-peace.com/2/2-1-025.html