2023年11月18日

娘の死後, 娘を誇りに思って生きていく父の覚悟(鳥取西館新田藩 第五代藩主池田定常(松平冠山)公の十六女・露姫の死と父のtrauerarbeit)

これまで鳥取西館新田藩 第五代藩主池田定常(松平冠山)公の
十六女・露姫について取り上げてきました。
今日は第8回目です。

数え年6歳で痘瘡(天然痘)によって命を奪われた露姫の死は
全国に広く知られることとなり
大きな反響を巻き起こしました。
そして当時1,600名もの人々が
露姫の死を惜しみ詩歌、和歌、詩文、絵画、手紙等を
冠山公の元へ送ってきたのです。

それらはすべて全30巻の巻子として表装され
文政年間に浅草寺に奉納されました。
平成31年、台東区指定区民文化財としても
認定されています。

デジタル社会とは全く程遠かった200年前の我が国で
これほど多くの人々が一人の幼女の死を惜しみ、行動を起こし、
その証が今も現存するという事実は
恐らく国内・海外に置いて類を見ないと思います。

そしてこの巻子の制作は死別後の冠山公の人生に
大きな力を与えることになりました。



大切な人と死別した後、
苦しい状況からどうにか自分自身を取り戻そうとする様子を
オーストリアの精神科医ジークムント・フロイトは
ドイツ語で「trauerarbeit」と表現しました。
冠山公の取り組みは
まさにこのtrauerarbeitであったと思います。


詳しくはこちらに書きました。

Lana-Peaceエッセイ
「悲しみで心の中がふさがった時」
娘の死後, 娘を誇りに思って生きていく父の覚悟
https://www.lana-peace.com/2/2-1-068.html
https://www.lana-peace.com/2/index.html