印象的な馬車の絵が3枚ありました。
1878年から1880年にかけて描かれた絵です。
2枚の水彩画は2度にわたる骨折の療養期間中、
友人宛ての書簡の中に同封されたものでした。
そして1枚の油彩画はそれらとは別に描かれたものでした。
彼が療養中の身の上で、馬車の絵を描くことの意味、
そこには絵を描くプロセスで必要になる記憶の想起や、
記憶から発展した想像、それらが脳内の疑似体験の役目を果たし
気持ちの高揚につながったのではないか?
そう考えていろいろ調べを進めていくうちに、
自己による行動ではなく、
他者の行動を見る(疑似体験)場合であっても
まるで自分が同じ行動をとったかのような
生理学的な変化が生じるという研究結果を知る機会を得ました。
イタリアの研究者ジャコモ・リゾラッティ博士(※1)と
オーストラリアの研究者レイチェル・ブラウン博士(※2)の研究です。
(※1)G. di Pellegrino, L. Fadiga, L. Fogassi, V. Gallese, G. Rizzolatti (1992) Understanding motor events: a neurophysiological study, Experimental Brain Research, 91, pp.176-180
(※2)Rachael Brown, Ursula Kemp, and Vaughan Macefield (2013) Increases in muscle sympathetic nerve activity, heart rate, respiration, and skin blood flow during passive viewing of exercise, Frontiers in Neuroscience, volume 7, article 102, pp.1-6
それら現代の生理学的な知見を
19世紀のロートレックの行動に重ね合わせて考えてみると
彼は実に能動的に病と共に生きた人物であるのだと
改めてしみじみ思うこととなりました。
詳しくはこちらに描きました。
Lana-Peaceエッセイ
病気と一緒に生きていくこと
「心を鼓舞する選択と行動が生み出す新たな力」
濃化異骨症と共に生きたアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック
http://www.lana-peace.com/1/1-1-117.html
http://www.lana-peace.com
【病気のこどもと家族のために 病気と生きるこどもの最新記事】
- 「弱点を昇華させ飛躍へ変える- 器官劣等..
- 「共同体感覚」が生み出す心の晴れ間(小田..
- 親友との関わりで気付いた自分の幸せ - ..
- 療養中の出会いで得た内省と成長 ― 濃化..
- 逆境の中で伸びやかに成長していくには 濃..
- 「たとえ、周りがどうであっても」ー青空の..
- 病気だからこそ、自分の限界を超えて行く―..
- カードが開いたこどもの世界 ―「小さな村..
- いつだって、毎日がスタート日 ー伐採され..
- かけがえのない宝物が育てる未来..
- 病気退学から始まった天命への道とたゆまぬ..
- 続ける強さと新しい始まり
- 誓いを立てて得た命を生きる ― 吉田晴乃..
- 感嘆符の葉っぱを増やす生活 ―韓国ドラマ..
- 湘南モノレール 500形車両 運転操作疑..
- 自分が変える、自分の世界 ―自分が主体と..
- 日光を求めて伸び行くゆりの姿 ―ところざ..
- ヘルパーさんがもたらす幸せ
- 最新の医学の知見の恩恵に、広くあずかれる..
- 「おしゃべり力」よりは「観察力」