2022年06月13日

「心を鼓舞する選択と行動が生み出す新たな力」―濃化異骨症と共に生きたアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック

画家アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの作品の中で
印象的な馬車の絵が3枚ありました。
1878年から1880年にかけて描かれた絵です。
2枚の水彩画は2度にわたる骨折の療養期間中、
友人宛ての書簡の中に同封されたものでした。
そして1枚の油彩画はそれらとは別に描かれたものでした。

彼が療養中の身の上で、馬車の絵を描くことの意味、
そこには絵を描くプロセスで必要になる記憶の想起や、
記憶から発展した想像、それらが脳内の疑似体験の役目を果たし
気持ちの高揚につながったのではないか?
そう考えていろいろ調べを進めていくうちに、
自己による行動ではなく、
他者の行動を見る(疑似体験)場合であっても
まるで自分が同じ行動をとったかのような
生理学的な変化が生じるという研究結果を知る機会を得ました。
イタリアの研究者ジャコモ・リゾラッティ博士(※1)と
オーストラリアの研究者レイチェル・ブラウン博士(※2)の研究です。

(※1)G. di Pellegrino, L. Fadiga, L. Fogassi, V. Gallese, G. Rizzolatti (1992) Understanding motor events: a neurophysiological study, Experimental Brain Research, 91, pp.176-180
(※2)Rachael Brown, Ursula Kemp, and Vaughan Macefield (2013) Increases in muscle sympathetic nerve activity, heart rate, respiration, and skin blood flow during passive viewing of exercise, Frontiers in Neuroscience, volume 7, article 102, pp.1-6

それら現代の生理学的な知見を
19世紀のロートレックの行動に重ね合わせて考えてみると
彼は実に能動的に病と共に生きた人物であるのだと
改めてしみじみ思うこととなりました。


詳しくはこちらに描きました。

Lana-Peaceエッセイ
病気と一緒に生きていくこと
「心を鼓舞する選択と行動が生み出す新たな力」
濃化異骨症と共に生きたアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック
http://www.lana-peace.com/1/1-1-117.html
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