2020年10月08日

人生の幅を狭められない ―ある青年の言葉

「人生の幅を狭められない」

そう語った青年がいました。
とても静かに。

私は心がジーンとして、
何度も何度もその言葉が
頭の中で共鳴するようでした。


小学生の頃から、大変な病気で入退院を繰り返して
他のこどもたちがステップアップする時期に
同じようにチャンスを手にすることができなくて
それでも、また別の方法を考えて
そしてより良き時期を待って、
そのチャンスをどうにか手にしていく。
それを何度も繰り返してきた人です。
頑張っても、頑張っても病気のために
次のステップへのはしごを外される。
そうした悔しさは
他人が容易にわかる道ではありません。

何より自分自身の中で起こる葛藤と
どう向き合って折り合いをつけていくのか。
実にそこが難しい。

物静かで、はにかみ屋さんで
でも心の中に熱いものをずっと持っていて
自分の夢を忘れない青年。


そういう青年がポツリと語ったその言葉
「人生の幅を狭められない」

そこにすべてが集約されているのだと思いました。
彼の生きてきたこれまでの原動力が。


私の人生の半分の長さもまだ生きていない若者が放った言葉は
私の中で生涯忘れられない言葉になると思う。


病気が人を成長させる、
そういう表現がありますが、
彼の言葉はそんな表現では収まりきらないのだと思う。


彼の人生にどうかあたたかな陽が照らされますように。
幸せになって、夢を叶えていってほしい。

心からそう思います。