2020年07月16日

重い病気のこどもをお世話する親の心の中 ―親の心の1%の希望

生まれて間もない時からいくつも重い病気を抱えるこどもにとって
親とは自分に代わって治療の選択をしてくれる人であり、
医師の話す事実を受け止めてくれる人であり、
病気で不自由な体をお世話してくれたり
病気で自由に遊べないストレスで鬱屈した心を
丁寧にフォローしてくれる、
そのような八面六臂の活躍が求められる人です。

「今」この時間を生きている時、
とにかく今が一生懸命で毎日を過ごしている。
けれどもそうした生活が1年、5年、10年と続いていくと
親は「お父さん」「お母さん」の役割を外した
20代、30代、40代、50代の「人」としての
望む姿を追えない場合も出てきます。

自分の中に99%一生懸命なお母さんの部分があって
1%はこどもの話とは別に
自分の希望や目標に向かって頑張りたいけれど
それ自体が叶わない自分。
その1%に気付いた時、
ある女性は自己嫌悪や罪悪感を強く持ったのでした。
こどもに申し訳ない、と。


でも。。。
親だって人間だもの。
自分自身の密かな希望や目標があって当然ですよ。
それを自分勝手とか、現状をわかっていないとか
頭ごなしに否定するのは違うのだと思います。
親は自問自答しながら、自分の希望と現状との間に
折り合いをつけて、自分の気持ちをうまく整えていく。
そして時期が来たら、
親も子もどちらにとってもハッピーな
状態だなって思える時が来たら
修正した自分の希望を少しずつ叶えていく。
そうやって親が自分の人生を生きていく。

そういうことで良いのではないかなあと思います。

そういう時の自分の変わる苦しみ、
整えていく途中の苦しみは
とても尊いことだと思います。
そして誰かに知ってもらうべき、
意味のあることなのだと思います。
人が困難を受け入れて
何か新しくステージアップしていく時、
やっぱり一人ぼっちで変わるのではなく、
誰かそれを分かち合う、見守る人がいた方が良い。
彼女の涙からそう思いました。

そうやってきた親の軌跡を
お子さんは大きくなって知った時、
きっと誇りに思うはず。
自分のために親は苦労ばかりしてきた
気の毒な人、なのではない。
自分と共に親もどんどんステージアップしてきた人なのだと。