気持ちがいっぱいいっぱいになって
心が振り回されて、もう疲れたよ・・・
誰しも経験したことはあると思います。
それがもし我が子の病気に関わることであったら
その苦しみはより一層重く感じる。
とにかくこの状態から抜け出したいのに
どうしたら良いかわからない。
かといって、どんなに良いアドバイスを受けても
それが心に届く状態ではない。
周囲の人も何とか助けたいと思うけれど
でも、どうしたら良いものかと考えあぐねてしまう。
そのようなある女性の心を救ってくれたのは
ご主人の姿勢だったのでした。
とにかく彼女の心の中の思いを
話してもらう。それをひたすら聞く。聞く。聞く。
そしてある時すっと心が落ち着いた頃を見計らって
彼女に言葉をかけてくれたのでした。
それを繰り返していくうちに
彼女の疲れきっていた心が
段々力を取り戻して
少々のことではへこたれない強さを
身に着けていかれたのでした。
南北朝時代に北畠親房が南朝の正統性を述べた歴史書
『神皇正統記』(じんのうしょうとうき)では
自分と他者の信仰が異なるからと言って、
他者の信仰を非難するとは極めて大きな誤りであり
罪であると述べる際に、次の文章が添えられています。
「人の機根(きこん)もしなじななれば教法も無尽なり」
それぞれの人の気質、性質、能力、理解力、
人を形作るものは皆違うのであるから、
そこで良しとする教えやその教えを説く方法も様々、
それで良いのである。」という意味だろうと私は思います。
人の機根とはもちろん他者それぞれ違いがありますが
一人の人間の中でも時により、様々にうつろいゆくものであるはず。
だからこそいくら正論を説いても心に届かない状況であれば
時を選ぶ。時の隔たりによって「間」が生み出され、
そこでクールダウンできることにより、
落ち着いて周りを見渡せる自分が取り戻されくる。
そこで初めてその人の心に言葉が届く。
ご主人の行ったひたすら聞く姿勢は
そういうことだったのだなあと思いました。
でも、そこで話が終わるのではありません。
彼女は長い時を経た後、
当時のご主人のそうした関わりがあったからこそ
立ち上がることができた今の自分がいるのだと
しっかり認識していたのでした。
素敵なご夫婦だなあって思いました。
我が子の病気は親に辛さばかりをもたらすわけじゃない。
そこで初めて相手の懐の深さとか本当の意味での優しさとか
気付くきっかけにもなる。
お子さん、これから元気になっていきますように。
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