それが恐怖だったり、孤独だったり、悲しみだったり、痛みだったり、
様々な感情が呼び起こされる時、
その出来事をあなたは心の中でどういう風に処理しますか?
ある少年が語った言葉
とても衝撃的でした。
普段はその出来事をすっかり忘れているけれど
何かの拍子に突然浮上して
思い出してしまった時、
彼は「嫌な思い出」そのことばかり
考えるのだそうです。
「楽しいから」と。
嫌な思い出なのに楽しい?
一体どういうことなのか?
私には当初その意味がまったくわからなかった。
頭の中が真っ白になって
彼の話を理解しようとしてみたけれど
まったく、わからない。
クエスチョンマークがぐるぐる。
どうして楽しいのか、
その理由を尋ねてみると
彼はまったく気負うこともなく教えてくれました。
もしその出来事と同じようなことが
これから起こったら
どんなふうに自分が回避するのかを考えるのだと。
自分の頭からその思考が消えるまでずっと。
随分前、もう何年も前のその出来事に対して
彼はまだ自分自身の答えを見つけていないそうです。
それも私はびっくりした。
何年もそれを考えているの?
答えを見つけようとするために?
私が彼と同じ年だった頃に遡ってみた時
そうしていただろうか?
いや、とてもそうはできていない。
蓋をして隅に追いやって
知らんぷりして生き続けてきただろう。
その少年の後ろ姿を見送った後、
私は何度も何度も彼の言葉を反芻しながら
考えてみました。
どういうことなんだろう。
それは彼しかわからないことだけど
彼のこれまでの過ごしてきた時間が
そういう思考を生み出してきたのだろう、
というのが私の答えです。
彼は赤ちゃんの頃からずっと辛い治療を
何度も何度も繰り返してきた。
こどもの立場ではきっと理不尽な思いも
あったことだろう。
治療の過程で嫌な出来事、嫌な思い出も
たくさんあったことだろう。
その中で彼は自分の人生を「嫌なことだらけ」
にしないようにする努力を続けてきたのだろう。
きっと。
何か起こる、そこで自分が嫌な思いをする。
また同じことが起こるかもしれない。
だけど未来の自分はそれをきっとうまく対応できる。
逃げるんじゃなくて、うまくそれをかわしていける。
未来の自分がそうあるために
彼は考えているのだろうと思う。
病気のこどもに大人が向ける眼差しの中に
自然と「不憫だ」と思う気持ちを重ねてしまうことは否めない。
でも病気のこどもたちは
気の毒で、かわいそうで、あわれむ
そういった存在以上の「存在」であることも
忘れてはいけない。
あなたは今まで何を考えて生きてきたの?
そんな風に彼に問いかけられているような気がしました。
若い命にまた一つ諭された思いです。
彼との出会いに感謝です。
今年も1年、出会ってきた病気のこどもたち
そしてそのご家族にたくさんのことを教えてもらいました。
彼女、彼らに広がる未来の時間が
幸多きものでありますように。
そういうお手伝いができるように
来年も努力していきたいと思います。
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