2019年10月25日

果てしなく沈む気持ちと向かい合う時 ―ある母親の話

お子さんが長期入院が必要な重病とわかった時、
親御さんは果てしなく沈む気持ちを
どう引き上げれば良いのか、
それは本当に切実な問題です。
昼間はどうにかこうにか頑張ることができても、
夜寝る前になるとどんどん気持ちは落ち込む。
なかなか寝付けない。気付けば、うとうとして朝になる。
気持ちを切り替えよう。
でもうまくいかない。

そんな日が繰り返し続くと、
だんだん面会に行ってお子さんのそばにいることさえ
苦しく思えてくる。

そういう時どうしたら良いのでしょう。
あるお母さまは周りの入院患者さんたちの
親仲間の言葉が力になったのだそうです。
「自分のこと責めちゃ駄目だよ。」
「こどもの元気を引き出すためには
親がポジティブでいることがすごく大事なんだよ。」
そう言葉をかけてくれたのだそうです。

彼女はそこからいろいろな気付きを得ていきました。
誰かがこの状況から救い出してくれることを待つのではなく、
どうにかしようと自分でまずは思わなくてはいけないのだと。

そこで彼女が始めたことは
自分の気持ちの中の負の連鎖を断ち切ることでした。
そしてお子さんのことも大事だけど
自分のことも大事にするようにしていったのです。
食べること。寝ること。
それは人間の基本だから。
苦しすぎる心の棘を忘れていくことも。
そして心細い時、ご主人に気持ちを本音で語ることも。
それが彼女を支えていきました。

彼女は元々ポジティブな方だったけれど、
お子さんの病気のことで自分自身が揺らいでしまった。
だから元の自分を取り戻そうと努めていきました。


足元が揺らぐ時、
もう自分自身が立っていられない、
そう感じる時、
まずは自分が立っていられるようにすることが
何より先決だと思います。
そして、そこからすべてがまた
始まっていくのだと思いました。

彼女の話を伺いながら
心がジーンとしました。
不可抗力もいろいろ重なって
彼女にとっては本当に大きな試練が
次々立ちはだかったけれど
何とか立ち上がろうとした若いその母の姿に
とても感動しました。


ポジティブになったと思っても
やっぱりそんなにうまくはいかない時もあるけれど
それはそれで、良いのだと思う。
親だって人間だもの。


だけど彼女には思い出してほしい。
あなたは前進と後退を繰り返しながらも、
前よりは少しずつ心が強くなっていることを。
その日々の少しずつの積み重ねが
あなたの心にはしっかりと蓄えられていることを。


あなたは立派なお母さんだなあって、
私は心からそう思う。
あなたの頑張りは誰も見ていないのではなくて
どこかで誰かが必ず見ているから。