2019年07月12日

みんなと違う、その日常を受けとめるために父が心を砕いたこと

病気のために制限しなければいけない食事や運動、
それは大人であっても大変ですが
幼いお子さんがその必要性を理解して守っていくことは
実に大変なことです。
お子さんだけでなく親御さんも。

そして「みんなと一緒」であることに
安心感を見出すような年頃のこどもは
みんなと一緒のことができない自分に引け目を感じたり、
時には理不尽だと怒りを感じることもありますね。
場合によってはそうした違いが、
いじめの対象になってしまうかもしれない。

それでもお子さんの命を守り、現状悪化を防ぐために
どうしてもやらなくてはいけないいくつもの制限。

あるお父様はお子さんが幼い頃からずっと
そもそも人は皆違うのであり、
他人と違うことは決して悪いことではない。
他人と違うことが良いことなのだよと
教え諭してきたのだそうです。

そのお話を聞いて心がジーンとしました。
父が折に触れ語り、それに耳を傾ける子の姿を想うと。

きっとそのお子さんは父の言葉を聞くたび
自己肯定を積み重ねて来たんだろうなあ。
それはすごくすごく、大切なことだと私は思う。

お子さんは父の言葉によって次第に
自分から違いを理解した自主的な行動を
とるようになったのだそうです。


その後、思い出した詩がありました。
金子みすゞ女史の詩「私と小鳥と鈴と」(※)です。

5年前こちらのエッセイでも取り上げたことがありますが、
平易な言葉で真理を突いた詩なので、
またご紹介したいと思います。


「私と小鳥と鈴と」

私が兩手をひろげても、
お空はちつとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のやうに、
地面を速くは走れない。

私がからだをゆすっても、
きれいな音はでないけど、
あの鳴る鈴は私のやうに、
たくさんな唄は知らないよ。

鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがつて、みんないい。

(※)金子 みすゞ(1984)『金子みすゞ全集 V さみしい王女』,JULA出版局, p.145


幼い頃から「自分の違い」を自然に受けとめて来たこどもは
「他者の違い」を受けとめる懐の深さを持つんだろうと思う。


新しく始まる治療、きっとうまくいく!