遺跡そばの大船遺跡管理棟内に同じく函館市の臼尻B遺跡に
関する解説展示パネルが設置されていました。
大きなパネルに出されていた写真、
それは遺跡のフラスコ状土坑から出土した2体の人骨でした。
こどもの人骨は母の子宮に再び吸い込まれて
生まれ変わることを望むかのような姿勢で埋葬されていました。
詳しく調べてみると
そこに収められていた副葬品の土器には
永遠や再生を象徴するかのような波や水泡を再現したような
模様が施されていました。
臼尻B遺跡からはシカと追い込み猟に使った落とし穴が
描かれた深鉢が出土しています。
漆が検出された土坑墓もあります。
シカの角は毎年生え変わる力強さと再生能力、
そして漆は熱や酸、アルカリにも耐えうる恒久性があります。
臼尻B遺跡の人々は何かに思いを託して表現することが
とても長けていたのだろうと思います。
かつて4000年も前に臼尻に住んでいた人々にとって
死は再生への始まりだったのかもしれません。
詳しくはこちらに書きました。
Lana-Peaceエッセイ
アート・歴史から考える死生観とグリーフケア
「臼尻B遺跡 大人の足元に寄り添う4,000年前のこども」
(北海道 臼尻B遺跡)
http://www.lana-peace.com/2/2-4-082.html
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