中学か高校の日本史の教科書のような記憶があり
なんとも哀愁がそこはかとなく漂う時間でした。
それぞれ2m近いその立像はド迫力です。
そして背部に回ってみると、特に無著の袈裟の柔らかい布の感じは
まるでそこに布が生きて、波立っているかのようです。
それにしても無著、世親は憂いを秘めた思慮深いお顔立ち
ガンダーラ出身であればもっと彫の深い顔立ちではないのかしら
等と思いますが、まあそんなことはどうでも良いですね。
外見がどうかではなくて、その像からにじみ出る何かが
人にどう伝わるか、が大事なのだろうと思いますから。
無著菩薩立像 世親菩薩立像はあまりに有名で
単独で写真に掲載されていることが多いのですが
本来、興福寺北円堂では本尊弥勒如来像の両脇に
大妙相菩薩像、法苑林菩薩像、
そして堂内の四隅に四天王像、
そして弥勒如来像の両脇後方に
無著(むじゃく)菩薩像・世親(せしん)菩薩像が安置される、
という形をとっています。
運慶展に出展される前の2017/9/5
北円堂で魂を抜く法要が営まれたという朝日新聞の記事があり
そこに掲載されている写真が参考になりました。
実際の北円堂にいらっしゃる無著菩薩像・世親菩薩像のご様子が見えます。
それぞれ菩薩、と尊称がついていますが僧侶ですから
弥勒如来像のそばで、守るように配置されるというのが
何かとても不思議な感じがしたのですけれど……
その不思議が解けるようなヒントが
運慶展のあとで寄った東京国立博物館敷地内の法隆寺宝物館にありました。
思わず「これなのかー」と思ってしまいましたので
後程ご紹介。
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無著菩薩立像 世親菩薩立像(国宝)
運慶 作
桂材, 寄木造, 彩色, 玉眼
無著像 像高 194.7cm
世親像 像高 191.6cm
2軀
建暦2(1212)年頃
奈良/興福寺 所蔵
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