2017年11月18日

「阿弥陀如来坐像および両脇侍立像」運慶 作(国立東京博物館展示・神奈川・浄楽寺所蔵)

国立東京博物館展示(東京・上野)の
「興福寺中金堂再建記念特別展 運慶」より印象的だったものをご紹介。

「懐かしいー」と思わず感激したこちらの像。
今から8年前、2009年に京都造形芸術大学通信教育部の
歴史遺産コースで学んでいた時に
10月に開催された芸術遺産研究のスクーリングで訪れた
神奈川県横須賀市芦名の浄楽寺の阿弥陀如来像だったからです。

実際、彼の地で見た時はその迫力に圧倒されて
横須賀にこんなすごいお宝があったのだなあと
帰りのバスの中でどきどきしたことを思い出しました。

特別展では普段収蔵庫の中では見られない角度から
見ることができるのも一興です。
浄楽寺のHPによると阿弥陀如来の光背・台座は
後年、江戸時代の作だそうですが
光背外側は流れるような曲線の先一つ一つに
まるでお花が咲いたような造形で
光背が作る光の影は、アラベスク文様のようで
とても美しかったです。
それが本尊阿弥陀如来をますます引き立てています。

そして改めて浄楽寺のHPを見てみると
東日本大震災の後、収蔵庫の下に断層があることが判明し
現在収蔵庫改修対策の真っ最中で、朝日新聞社運営の
クラウドファンディングがとられているそうです。
800年近く前に作られた阿弥陀如来坐像と脇侍。
800年の間には何度も地震・天災があったことでしょう。
でも、たとえ断層の上にあっても
平成のこの時代まで形を保ち続けてきたと知ると
ますます運慶の魂が仏像の中に吹きこまれているような
特別な力が宿っているような、そんな気がしてきます。

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阿弥陀如来坐像および両脇侍立像(重要文化財)
運慶 作
3軀
3軀とも木造寄木造
阿弥陀如来坐像 像高141.8cm
勢至菩薩立像  像高177.1cm
観音菩薩立像  像高178.8cm
文治5(1189)年
(阿弥陀如来坐像光背・台座は江戸時代作)
神奈川・浄楽寺
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posted by Lana-Peace at 13:18| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸