「神の宝の玉手箱」より
印象的だったものをご紹介。
こちらで紹介したウィーン万博出品物、
海難事故後、引き揚げが行われたのは
沈没してから1年以上たってからの話だそうです。
国立国会図書館サイト内のウイーン万国博覧会ページによると
遭難したのは明治7年3月20日未明で、
伊豆半島沖にて暴風雨のためフランス郵船ニール号が座礁し、
乗客乗員90名と出品物192箱が海に投げ出されてしまったとのこと。
4名が救命ボートで難を逃れ,1名が救助されたそうです。
海に眠るままとなった方々とその遺族は
本当に無念だったことでしょう。
そして明治8年引き上げられた陶磁器や漆器等の68箱分のうち
今回展示されていたのは「唐草蒔絵置物台」。
約1年もの間、海水に浸かっていたとは想像できないほど
唐草の細かい文様が鮮明に残っていました。
もちろん引き上げ当時のそのままではなく
いくらか修復されたのだろうとは思います。
しかし歪みや破損の痕など、まったく感じられないもの。
こちら会場解説板にはその理由として
「漆塗りと蒔絵の堅牢さ」と表現されていました。
どなたの所有物だったのでしょう?
でも「置物台」と言われたら
その上に何か美術品など乗せるべきものが想定されていたはず。
いわゆる「裏方」の使命を持つ台ではありますが
こうして海から引き揚げられて、この世に蘇ったこの台、
裏方どころか、大本命みたいな、
何かとてつもなく大きな力を潜ませているように思えます。
東京国立博物館HPに画像が収載されています。
http://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0025702
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唐草蒔絵置物台
一基
江戸時代 19世紀
東京国立博物館蔵
サントリー美術館(東京・赤坂)
「神の宝の玉手箱」出展品
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