2017年06月25日

唐草蒔絵置物台

サントリー美術館(東京・赤坂)の
「神の宝の玉手箱」より
印象的だったものをご紹介。
こちらで紹介したウィーン万博出品物、
海難事故後、引き揚げが行われたのは
沈没してから1年以上たってからの話だそうです。

国立国会図書館サイト内のウイーン万国博覧会ページによると
遭難したのは明治7年3月20日未明で、
伊豆半島沖にて暴風雨のためフランス郵船ニール号が座礁し、
乗客乗員90名と出品物192箱が海に投げ出されてしまったとのこと。

4名が救命ボートで難を逃れ,1名が救助されたそうです。
海に眠るままとなった方々とその遺族は
本当に無念だったことでしょう。

そして明治8年引き上げられた陶磁器や漆器等の68箱分のうち
今回展示されていたのは「唐草蒔絵置物台」。

約1年もの間、海水に浸かっていたとは想像できないほど
唐草の細かい文様が鮮明に残っていました。

もちろん引き上げ当時のそのままではなく
いくらか修復されたのだろうとは思います。
しかし歪みや破損の痕など、まったく感じられないもの。
こちら会場解説板にはその理由として
「漆塗りと蒔絵の堅牢さ」と表現されていました。

どなたの所有物だったのでしょう?
でも「置物台」と言われたら
その上に何か美術品など乗せるべきものが想定されていたはず。
いわゆる「裏方」の使命を持つ台ではありますが
こうして海から引き揚げられて、この世に蘇ったこの台、
裏方どころか、大本命みたいな、
何かとてつもなく大きな力を潜ませているように思えます。


東京国立博物館HPに画像が収載されています。
http://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0025702


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唐草蒔絵置物台
一基
江戸時代 19世紀 
東京国立博物館蔵
サントリー美術館(東京・赤坂)
「神の宝の玉手箱」出展品
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posted by Lana-Peace at 15:56| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸