2017年06月12日

山本達彦氏 MANDALA LIVE 2017 Live en Quatre Saisons・été(2017/6/10)

先週土曜日、山本達彦さんの153回目の南青山マンダラライブに
行ってきました。

黒のジャケットとパンツに、
胸元の深い白いシャツで登場した山本さんですが
今回のライブは随所で山本さんの優しさや
気遣いが現われたトークがいっぱい。

最初のトークでは、室内冷房への気遣いのアナウンス。
「無理しないで」とおっしゃったのが印象的でした。
今年3月のマンダラライブでは、
ライブの半ばで具合が悪くなった方がいらっしゃったからかな。
そういうさりげない優しさが、また山本さんらしいけど。

この時期のライブにいつも用意される、ご自宅の庭の紫陽花は
今年、開花が間に合わなかったそうで
青山のショップで購入されたとお話されてました。
山本さんのセンスで選ばれたのか青、紫、白の美しい
アジサイはピアノの後方でひっそりと存在感を放っていました。

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さてマンダラライブでは以前と同じ曲が歌われることもあるけど、
「僕も成長しているし、みんさんも違う感覚で聴いてくれるかな。」
と前置きされていました。
同じ曲なのに、そのアレンジがその都度微妙に違って
それがとっても「わー、そういうアレンジなの!」とか
「意外だけどすごく良いなあ!」
「意外じゃないけど、定番だけどやっぱりそれも良い。」みたいなものばかり。

「LADY」は山本さんのピアノと戸川智章さんのベースの
絡み合いがとても軽快で映画を見ているような展開
「密室のタンゴ」はとっても大人で素敵なアレンジ。
原曲よりも、更に磨かれてもっとカッコいい感じ。

その都度、工夫されているというそのアレンジ、
楽譜が販売されていたら毎回、買うのになあ。

山本さんは切ない詩でも
さらっと歌えることを目標にしているそうですが
「修行が足りずに、一皮二皮、向けていない。
紫陽花のように色を変えていけるかどうか、
これからの人生」
そんな風におっしゃっていました。
ベテランの領域にいらっしゃっても
そういうさらりと謙虚な所が、
やっぱり「できる大人は違うなあ」と思ってみたり。

アレンジについて山本さんのお話では
録音当時とは違ったスローテンポにして、
楽器編成も減らすことで
「より情緒的な感じになって、声も大人な感じで、説得力があるかな」
ですって。確かにその通り!

中崎英也さん作曲の「Flash back」と
小森田実さん作曲の「ミッシング・ウィスパー」は
空気感が一変するほど大人カッコいいアレンジ。
ドライブに行きたいなあって感じ。

そしてライブ本編の最後の四曲は
山本さんなりのストーリー構成が紹介されました。
ときめきで始まる恋だけど
愛するがゆえに次第に生まれる小さな不信感が
やがては別れにつながってしまい、
それでも立ち直って自分の人生を歩んでいく、というストーリー。
それは「街角」「センチメント」「HiS WOMAN」「紫陽花」の4曲。

「人というのはそういう経験をして、人生を歩んでいく。
僕も僕なりに歌いながら感じたいと思うし、
皆さんもいろんな光景を照らし合わせて聴いてほしい」
その山本さんの言葉がしみじみ
ライブ会場の空気をみたした土曜日の南青山でした。

さて、今回のマンダラライブでは
今春逝去されたかまやつひろしさんのお話にも
触れていらっしゃいました。
山本さんが大学四年生の時、
かまやつさんのサポートバンドとして参加されたそうですが
プロのソングライターとして山本さんが初めて曲を提供したのも
かまやつさん宛なんですって。
とても音楽的なことを教えてもらっただけでなく
人としても、大変影響力が大きかったようです。

「偉ぶったりすることなく、対等に人と接してくれる人で
大好きだった」「感謝しても感謝しきれない」と。

かまやつさんはちょっとしたことを
さりげなく褒めてくれたりするんですって。
それに、演奏中、相手が良いソロをしたら
本当に嬉しそうに無邪気なこどものように
にこーっと笑うんですって。
自分のことより他の人が何か良いことをした時の満面の笑み。
山本さんは「ムッシュのそういうところが
愛される理由なのかなって思う」とおっしゃってました。

山本さんがかまやつさんの曲を2曲歌われた後、
かまやつさんの遺作となった「雷門Project」の紹介で
井上日徳さんが登場されました。
31年前、井上さんがまだ22歳で
音楽家として活動を始めたばかりの頃
かまやつさんのアルバムを作るから
アレンジしてほしいと依頼があって
デモテープを渡されたそうです。
(テープっていうところが時代の長さ・重さを感じるけど)
そこで井上さんが手がけられた2曲をお渡しすると
かまやつさんは大変気に入って、
全部やってほしいとお願いされたんですって。
井上さんはそれがきっかけで仕事が大きく広がったけれど
残念ながらそのアルバムは諸事情でお蔵入り。

そして長い長い年月が経って、3年位前のある日に
井上さんのフェイスブックにかまやつさんから
友だちかも?って、連絡が来たそうです。
そしてお互い投稿をやり取りしたある日、
井上さんの旅行記事へのコメントとして
「30年前のアルバムを作りたいと思います」って
書き込まれていたんですって!

その後、30年ぶりに再会、
そして「雷門Project」のスタート。

でも病に臥せることになってしまったかまやつさんは
歌入れは2曲だけになってしまいました。
30年あたためてきた機会なのに、無念だったろうなあ。
でも、30年の思いが人生最後の最後に
形になったって、すごいことだなあとも思います。

山本さんはこんな風におっしゃってました。
「かまやつさんの精神は、こうやって受け継がれているから…」
「やりたいことをやりきったんだな、
 完全に自分のいい感じで燃えつきたんだなと思う。」

山本さんのボーカル、ピアノ、
戸川さんのベースと井上さんのギター、エレキ、コーラスで
セッションが始まりました。
「大好きなムッシュのために僕なりに精一杯歌ってみたいと思う」って。

「深紅の地軸」と「架空の陶酔」です。

今の山本さんがこうして活躍する最初の布石となった時期
40年くらい前、かまやつさんとの出会いが
山本さんにとって本当に貴重だったんだなあ。
それに対する御恩返しの意味もあったのだろうなあ。

山本さんはかまやつさんのことを
「好奇心の旺盛な人。人間として美しいなと思う。
まだまだ僕はなかなか優しい感じになれない。」
そんな風におっしゃっていました。

人が人をつなぎ、
新しい何かを生み出し
古い何かを受け継いでいく。
そのスピリットはいろんな形となって、
いろんなところで命を得て
続いていくんだなあ…
そう思いながら、3人のセッションを聴きました。

人のつながりとか、時間の重さとか
考えるきっかけとなったひとときでした。

今回の山本さん、時にお茶目な日常生活の一面のお話も交えながら
歌声は実に美しい甘い声でした。
ピアノの旋律はしみじみ染み透るようでした。

私は自分ががんと言われてから、
自分の時間を意識するようになって
山本さんのライブに行くようになったのはちょうど3年前。
南青山に到着するたびに
「ああ、前回から1クオーター私も生きたんだな」って
反芻しながら、山本さんの歌声を聴いていたけど
自分がこうして充実した3年間をおくれているのは
きっと、山本さんの音楽のおかげもあるんだなって思います。
これは最新の何とか療法、みたいなものより
すごいことだぞと、私は勝手に確信しております。


どうかお元気に、これからもずっと輝いて活躍されますように!
posted by Lana-Peace at 19:47| アート / 歴史 音楽