2015年10月31日

セリフの中ににじみ出るもの

こちらこちらで取り上げた『まんが日本昔ばなし』の
「うぐいす長者」ですが、同じ原作なのに、
1977年の作品と1991年の作品
随分、雰囲気が違います。
私は前者の方が好きなんだけど
前者にはこんなセリフがありました。

ちっとも物が売れなかったお茶売りの男の人が
木の下に座って、竹の皮に包んであった
白ごはんだけのおにぎりを1個頬張ろうとした時、
「お地蔵さん、寒いですねえ。」そう言って
木の下のお地蔵さんに微笑み
お地蔵さんの顎のところに、ご飯粒1粒を
くっつけてから、お地蔵さんの横に並んで
おにぎりをぱくりと食べたのです。
そしてピューと風が吹く、という情景です。
ちょうどはじまって1分すぎたあたりです。

そういうエピソードがあるだけでも、
お茶売りの男の人の人柄が、
何だかにじみ出ていますよね。

その場面はなぜか1991年の中には登場しません。

同じ原作を取り上げるとき、短い放送時間の中では
構成やセリフ、絵のタッチによって
随分雰囲気が変わってしまいますね。

お地蔵様の顎にご飯粒をつけるって、
大人から見たら、それは不作法と言われるかもしれないけど、
でも、自分一人でおにぎりを食べるんじゃなくて
お地蔵様にもわけてあげよう、
それもさりげなく、こどものテイストでちょっといたずらっぽく…
っていうのが、こどもの心に自然に通じるのではないかなあ。

今のアニメって、何かとんがった感じのとげとげしいものが多くて
見ている時の、なんだか安らかな心地良さって得難いように思うのだけど
(それはおばちゃんだから、いまどきの若者じゃないからと言えば
 そうかもしれないけど…)
なんか、じんわりあったまるような湯たんぽみたいなアニメが
あっても、いいんじゃないかなあ。と思う今日この頃。
そういうアニメって、入院中とか自宅療養中のこどもたちが見た時に
心落ち着くなあ…って気持ちになれると思うのだけどね。
きっとそれを一緒に見ている親も。

1977年2月19日に放映された「うぐいす長者」は
演出・作画:森田浩光氏 文芸:沖島勲氏 美術:槻間八郎氏です。
原作のお話は「見ちゃいけない4番目の蔵を、見ちゃったぞ」という展開に
なってしまうのですけど、まあそれはそれで
うぐいすと人間界の不思議ワールドが混合で
こどもが見終わった時に、不快感満載にはならないはず…。
(だから安心して見せられると思うのです)
posted by Lana-Peace at 19:46| アート / 歴史 本・映像