お寺からいただいたパンフレットによると
こちら天正年間(1500年代)、僧が一同に茶を喫したところが
「喜泉庵」という名前だったそうで、その後、平成3(1991)年に復興し、
杉苔を主とした枯山水のお庭と共に開席されることになりました。


こちら、中に入ると、趣のある受付。
立派な堂々とした梁の下、駕籠がぶら下がっているのは
思わず目を引きます。
立礼席でもよいですし、緋毛氈に座っていただくもよしです。
北側に設けられている円窓越しに向こうを見るもよし、
東側の開放的な枯山水を見るもよし。

当日いただいた冷たい抹茶は
大きな花火の描かれたガラスの器でした。
抹茶をいただくたびに、花火の下の方まで顔を出してきます。

訪れた日の前日は鎌倉花火大会の日でしたが
台風12号の高波、強風の影響で、
残念ながら中止になったそうなので
抹茶の器の世界の中で花火を感じるとは
何だか粋な計らいですね。
お菓子は涼しげな錦玉羹(きんぎょくかん)。
白餡で水草を表現しているとのことです。

気持ちはだらだらしてしまいそうな暑い夏の日、
襖や障子戸が開け放たれて、向こうのお庭に目をやると
蝉の声と、風向きと共にほのかに漂う蚊取り線香の香りの中で
汗もだんだんと引いていきます。
その空間から一瞬、別世界に飛んで行けそうな、
そんな一時でした。
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