2014年11月03日

楓蘇芳染螺鈿槽琵琶: 日本国宝展(2014年秋冬 東京国立博物館)

楓蘇芳染螺鈿槽琵琶はとても美しい琵琶です。
絃の張ってある側の撥面(ばちめん)には
白い像に乗った4名が音楽を奏でている様子が
描かれているのですが
その裏、すなわち実際に弾くとお腹側にあたるところに
螺鈿の美しい宝相華がちりばめれていました。
正倉院宝物らしさが満載の装飾です。

琵琶の腹の部分から海老尾にかけて
角面がぎすぎすした感じではなく、
やすりで丁寧に角を丸くしたかのようでした。

実際に奏でるものというよりは
展示装飾としての要素が強い宝物なのかもしれませんが
どこから見ても美しさの隙がありません。

作製された方々の名前は後世に伝わってはいないけれども、
名工の集中力と技量の高さが、非常に伝わって来る逸品です。

そしていつも思うのですが
こうした壊れやすい宝物を、正倉院から東京まで
無事に運んで展示する現代のスタッフの努力も伝わってきます。

日本の技術って昔も今もすごいですね。

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楓蘇芳染螺鈿槽琵琶
(かえで すおうぞめ らでんそうのびわ)
(南倉101 第1号)
奈良時代・8世紀
正倉院宝物
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posted by Lana-Peace at 23:13| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸