2014年07月28日

振動の力(安部恭弘氏 アコースティックライブ)

昨日、鎌倉 歐林洞ギャラリーサロンで行われた安部恭弘さんの
アコースティックライブに行ってきました。
安部さんの優しく、伸びのあるあたたかい歌声は、年を重ねられても
ますますいきいきと、そしてあたたかさを増しているように思いました。
休憩含めて2時間ちょっと、あっというまの時間でした。
歌は不思議。それを聴いていた頃の時間へと、瞬間移動することができます。
中学生だった頃、高校生だった頃…あの頃は安部さんの歌う世界は
遥か遠い大人の世界のように感じていたなあ…。

さて今回ライブの中でとても強く感じたことが2つあります。
1つは人間の能力の可能性で、もう1つは音すなわち振動の力の可能性です。
ちょっと書いてみようかなと思います。

まず人間の能力の可能性について。
今回のライブは3人が参加、
安部さんがボーカル、ギター、そして重久義明さんがピアノと打楽器、
松田靖弘さんがトランペット、フルート、サックスを担当されていました。
曲によって重久さんと松田さんは異なる役割をされるのですけれど、
また同じ曲の中でもいくつも役割をこなしていることもあったのですけれど、
それが何かせわしなく忙しい感じといったものではなくて、
1人の人間にこんなにも多様な能力があるのだなあと驚きいっぱいでした。
溢れ出る才能のお花が、安部さん、重久さん、松田さんのステージ上のポジションで
次々と開花している…そんな感じでした。
いくつもの才能はそれだけ多くの時間を使って磨かれたものだと思いますが、
人の何倍もの練習や努力の積み重ねの結果とも言えます。
そういったものを近くで見ると、とても迫力がありますね。

そして次に振動の力の可能性です。
3人それぞれの奏でる音が、それぞれ持ち味があって、
生みだされる音(振動)が、絶妙なハーモニーとなってその空間がとても
異質な上質なものへと変えられているのです。
聴衆はその振動に包まれ、音の空間の中に安心して浮いている感じなのです。
それはとても居心地の良い空間として。
安部さんの歌声とギターで聴衆は大きな力で前に引っ張られ、
松田さんの音が力強く底を支え、
重久さんの音が隅々まで空間の隙間を埋めていくようなそんな感じ。
それはここではないどこか違う空間へ、いざなわれるような不思議な感じでした。
振動って目には見えないけれど、人間にすごい働きかけをするものだなあ。

「何か打ち込みたいものがあって、そこに輝きを伴うってすごい!」
と思って聴いていたのですが、ライブ後半、安部さんは次のように仰っていました。

「日本語の持つ響きの良さを見直して、邦楽の持っているわび、さびを自分は自分なりの
解釈をしてうまく表現していく。好きな歌を勝手に歌って、ファンに見守れながら
歌い続けていける幸せを感じて、これからも歌っていきたい」
(注:「勝手に」というのは「心のままに・思うままに」という意味で使われたと思います)

感謝を持ちながら、自分の世界を追求していくって、
きっと良いものが生まれるのではないかなあ…
そんな風に思いました。

若い頃は、自分がどんなふうに年をとるのだろうかなんて考えもしなかったけれど、
学校ではそんなこと教えてくれなかったけれど、
こうして輝いて生きている人の姿や言葉から学ぶってこと多いですね。

安部さんのご自身の歌のボサノバアレンジ、大人のための極上空間でした。
心の根元の部分に、振動が直接降りかかってくるような、すごく上質なもの。
ぜひアルバムにならないかなあ。たくさんの人が聴けるように。
posted by Lana-Peace at 10:38| アート / 歴史 音楽