2017年11月18日

阿弥陀三尊及僧形像 N-199(重要文化財) 東京国立博物館 法隆寺宝物館所蔵

こちらでご紹介した「無著菩薩立像 世親菩薩立像」ですが
弥勒如来像のすぐそばに、たとえ尊称は菩薩ではあっても、
人間の僧侶像が立って配置されているのが不思議と思ったのですが
運慶展を見終わった後、帰りに寄った東京国立博物館敷地内の
法隆寺宝物館にヒントがありました。

こちら法隆寺宝物の中の阿弥陀三尊及僧形像です。
DSC05379.JPG

DSC05379a.JPG
※写真撮影許可あり

阿弥陀如来のすぐ後ろに控える二人の僧侶。
仏様のこんなにそばにいるのは、人間でも良いわけですね。
こちらの銅版、登場する皆様方のお顔が実に優しくて
ほっこり、という形容がぴったりのご一同様です。


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阿弥陀三尊及僧形像 N-199(重要文化財)
1面
35.7×29.8cm
銅版製押出
飛鳥時代・7世紀
東京国立博物館 法隆寺宝物館所蔵
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posted by Lana-Peace at 17:07| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

「無著菩薩立像 世親菩薩立像」運慶 作 (国立東京博物館展示・奈良/興福寺 所蔵)

こちらの像、最初の出会いは遠い昔の
中学か高校の日本史の教科書のような記憶があり
なんとも哀愁がそこはかとなく漂う時間でした。
それぞれ2m近いその立像はド迫力です。
そして背部に回ってみると、特に無著の袈裟の柔らかい布の感じは
まるでそこに布が生きて、波立っているかのようです。

それにしても無著、世親は憂いを秘めた思慮深いお顔立ち
ガンダーラ出身であればもっと彫の深い顔立ちではないのかしら
等と思いますが、まあそんなことはどうでも良いですね。
外見がどうかではなくて、その像からにじみ出る何かが
人にどう伝わるか、が大事なのだろうと思いますから。

無著菩薩立像 世親菩薩立像はあまりに有名で
単独で写真に掲載されていることが多いのですが
本来、興福寺北円堂では本尊弥勒如来像の両脇に
大妙相菩薩像、法苑林菩薩像、
そして堂内の四隅に四天王像、
そして弥勒如来像の両脇後方に
無著(むじゃく)菩薩像・世親(せしん)菩薩像が安置される、
という形をとっています。
運慶展に出展される前の2017/9/5
北円堂で魂を抜く法要が営まれたという朝日新聞の記事
があり
そこに掲載されている写真が参考になりました。
実際の北円堂にいらっしゃる無著菩薩像・世親菩薩像のご様子が見えます。

それぞれ菩薩、と尊称がついていますが僧侶ですから
弥勒如来像のそばで、守るように配置されるというのが
何かとても不思議な感じがしたのですけれど……
その不思議が解けるようなヒントが
運慶展のあとで寄った東京国立博物館敷地内の法隆寺宝物館にありました。
思わず「これなのかー」と思ってしまいましたので
後程ご紹介


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無著菩薩立像 世親菩薩立像(国宝)
運慶 作
桂材, 寄木造, 彩色, 玉眼
無著像 像高 194.7cm
世親像 像高 191.6cm
2軀
建暦2(1212)年頃
奈良/興福寺 所蔵
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「大日如来坐像」運慶 作(国立東京博物館展示・栃木・光得寺所蔵)

日本で厨子に納められた見事な仏像は?と言えば
私は1番に銅造阿弥陀如来及両脇侍像(伝橘夫人念持仏)を挙げたいのですけれど
運慶作の栃木・光得寺の大日如来と飛天の納められた厨子は
実に美しかったです。
今回の運慶展の中でも、特に印象に残るものでした。
運慶作の大日如来は見事ですが
蓮華座の下の獅子も素晴らしいし
阿弥陀如来の周囲を取り囲む飛天もすごかった。
阿弥陀如来が配されている平等院鳳凰堂中堂の
内側の壁の飛天を想起いたしました。

こちら昭和60(1985)年、東都文化財保存研究所により
保存修復が行われています。
その報告書の一部がこちらに掲載されていました。
そこからの情報を元に見てみると
円筒形観音開きの厨子は漆塗りで
中央に座す大日如来は木造漆箔造り。
金泥塗りの飛天は白土の雲に乗っています。

国立国会図書館デジタルコレクションに出ている『鑁阿寺小史』(※)
の中に厨子のお話が登場します。
デジタルコレクションなのでコマ番号17/40を見てみると、
24ページ、25ページの開いた写真が登場します。
そこには次のようにありました。
「法名を鑁阿と称し、金胎両部の秘密灌頂檀に入り大法を潟瓶し畢り、
やがて、金剛界大日如来三十七尊の像を三尺七寸の厨子に納め、
自から之を擔ひ飄然国を去り、足跡到るところに偏く、
(この厨子は今菅田村光徳寺(禅宗)に存す、
けたし明治四年神佛混合の際、樺崎八幡宮にありしものを
この寺に移し納めしものなりと云ふ)
  注:旧字は新字に改めました

※山越忍空(1897)『鑁阿寺小史』鑁阿寺, 25ページより抜粋

鑁阿寺小史によれば法名を鑁阿と称した足利義兼氏が
誰かに持たせるのではなく、自分で厨子を背負い
ふらりと諸国を巡った、とのこと。
それはどんな心境があったのでしょう……?

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大日如来坐像(重要文化財)
運慶 作
1軀
12〜13世紀
栃木・光得寺 所蔵
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「阿弥陀如来坐像および両脇侍立像」運慶 作(国立東京博物館展示・神奈川・浄楽寺所蔵)

国立東京博物館展示(東京・上野)の
「興福寺中金堂再建記念特別展 運慶」より印象的だったものをご紹介。

「懐かしいー」と思わず感激したこちらの像。
今から8年前、2009年に京都造形芸術大学通信教育部の
歴史遺産コースで学んでいた時に
10月に開催された芸術遺産研究のスクーリングで訪れた
神奈川県横須賀市芦名の浄楽寺の阿弥陀如来像だったからです。

実際、彼の地で見た時はその迫力に圧倒されて
横須賀にこんなすごいお宝があったのだなあと
帰りのバスの中でどきどきしたことを思い出しました。

特別展では普段収蔵庫の中では見られない角度から
見ることができるのも一興です。
浄楽寺のHPによると阿弥陀如来の光背・台座は
後年、江戸時代の作だそうですが
光背外側は流れるような曲線の先一つ一つに
まるでお花が咲いたような造形で
光背が作る光の影は、アラベスク文様のようで
とても美しかったです。
それが本尊阿弥陀如来をますます引き立てています。

そして改めて浄楽寺のHPを見てみると
東日本大震災の後、収蔵庫の下に断層があることが判明し
現在収蔵庫改修対策の真っ最中で、朝日新聞社運営の
クラウドファンディングがとられているそうです。
800年近く前に作られた阿弥陀如来坐像と脇侍。
800年の間には何度も地震・天災があったことでしょう。
でも、たとえ断層の上にあっても
平成のこの時代まで形を保ち続けてきたと知ると
ますます運慶の魂が仏像の中に吹きこまれているような
特別な力が宿っているような、そんな気がしてきます。

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阿弥陀如来坐像および両脇侍立像(重要文化財)
運慶 作
3軀
3軀とも木造寄木造
阿弥陀如来坐像 像高141.8cm
勢至菩薩立像  像高177.1cm
観音菩薩立像  像高178.8cm
文治5(1189)年
(阿弥陀如来坐像光背・台座は江戸時代作)
神奈川・浄楽寺
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「毘沙門天立像」(国立東京博物館展示・同館所蔵・旧中川寺十輪院持仏堂伝来)

国立東京博物館展示(東京・上野)の
「興福寺中金堂再建記念特別展 運慶」より印象的だったものをご紹介。

今は廃寺となった中川寺(奈良市中ノ川町)に安置されていた像。

経年変化によって全体は黒っぽくなっていますが
その中で光る着衣の金箔や細かく美しい柄模様は
とてもすごい手作業のなせる技です。

家にかえって調べてみると国立東京博物館のe国宝HPには
像内に紙本版画の毘沙門天摺仏が110枚、
絹本著色毘沙門天像が2枚納入されていたことが記されており
こちらのHPの驚いたところは、その拡大図を見ることができるのです。
す、すごいです。像もすごいけど納入品もすごい!
110枚プラス2枚も入っていた?
きれいに折りたたんで?
それとも、折れないように丸めて?

1mほどの像なので、会場内の他の大きな像に比べると
コンパクトな印象を受けますが
そんなお宝が納入されていたのかと思うと、
本当はぜひぜひ、納入品も一緒に展示してほしかったなあ。

仏像を作った仏師もすごいけれど
版画を彫った人、摺った人、絵を描いた人たち、
いろんな人の思いがこもっている作品だから。

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毘沙門天立像(重要文化財)
作者不明
1躯
像高102.5cm 
木造, 漆箔・彩色・切金, 玉眼
応保2(1162)年
旧中川寺十輪院持仏堂所在伝来、個人寄贈
東京国立博物館 所蔵
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posted by Lana-Peace at 12:29| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

「大日如来坐像」運慶 作 (国立東京博物館展示・奈良・円成寺所蔵)

国立東京博物館展示(東京・上野)の
「興福寺中金堂再建記念特別展 運慶」より印象的だったものをご紹介。

本来所蔵されている奈良県 円成寺のHPを見てみると、台座内墨書に銘文あり、
そちらの末尾に「大仏師康慶 実弟子運慶」と書かれているそうです。
音声ガイドでは本来こうした像は3カ月で制作するところを
1年かけて運慶が制作したとのこと。
そこには微妙な角度のこだわりなどがあったそうです。
横顔がとても凛として気品あり、
座り姿の背中がとても美しく物語る大日如来坐像です。

ざわざわした混雑会場でななくて、
しんとしたお堂の中でこうした坐像と対峙すると
異世界へいざなわれるような、そんな気がする坐像です。

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大日如来坐像(国宝)
運慶 作
1軀
像高 98.8cm
安元2(1176)年
奈良・円成寺 所蔵
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posted by Lana-Peace at 12:07| アート / 歴史 絵画・彫刻・陶芸

「興福寺中金堂再建記念特別展 運慶」(国立東京博物館・上野 2017)

先日、国立東京博物館展示(東京・上野)で開催されていた
「興福寺中金堂再建記念特別展 運慶」に行ってみました。
すごい混雑ぶりでしたが、それもまあ予想通りということで……。

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ちょうど「TOKYO数寄フェス2017 」も開催中だったのですが、
東京国立博物館前の上野公園噴水にはこんな作品がありました。

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こちらかつて寛永寺の仏閣が立ち並んでいた殊にちなみ、
寛永寺の山門「文殊楼」をモチーフに作られた大巻伸嗣氏の作品だそうです。

そして博物館前のユリノキはこんなに美しく大きく彩っていました。

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現代アートに負けない堂々とした自然の織り成すアートです。

当日は運慶展だけでなく、本館・平成館・東洋館・法隆寺宝物館の
常設展示品にも足を運んだので
一日の中で何千年もぐるぐるタイムトリップ、ワープした感じでした。
そういう時間も、なかなかいいですね。

帰りの夕暮れ時は、上野駅方面の道はピンク色のイルミネーションが。

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春の上野の花見を髣髴とさせるピンク色です。


印象深かった作品をブログ内でいくつかご紹介したいと思います。
posted by Lana-Peace at 11:43| アート / 歴史 博物館情報